振り飛車

飯島流引き角戦法

飯島流引き角戦法 (MYCOM将棋ブックス)
著者 :飯島 栄治
出版社:(株)マイナビ出版
出版日:2006-12-01
価格 :¥109(2024/08/31 15:06時点)
r1(評価:級位者)
r2(評価:初段~三段)
r3(評価:四段以上)

元々は対藤井システム用に開発した戦法を、総合的な振り飛車退治戦法に昇華させたのがこの「引き角戦法」である。
角道を開けないことで、振り飛車からの角筋の脅威から逃れている。また、変態戦法の「平美濃返し」のような感じで玉を囲っていくので、持久戦にも対応できる。

内容は、まず通常の四間飛車について解説し、続いて中飛車、向かい飛車と続く。朝日オープンで登場した藤井-羽生戦は向かい飛車で、本書にもその解説が一部載っている。

「話としては面白い」というのが一読しての感想で(笑)、冒頭羽生の言葉ではないが、飛車先不突きがあるなら角道不突きがあったっていいじゃないか、というのはまぁわからなくもない。烏指し戦法と違うのは現代には穴熊を代表とする「玉を固める」という思想があることで、これにより単純な奇襲戦法から立派な変態戦法に昇格したと言ってもいい。

ユニークな戦法だと思うが、「玉を固める発展性があるから有利」とか、意外と地味な部分が多いので、初段くらいの棋力では指しこなすのは難しいような気がする。高段者はやる方もやられる方も必須。一度は目を通しておくべきだ。

作成日:2007.09.04 
振り飛車全般

振り飛車基本戦法

振り飛車基本戦法 (スーパー将棋講座)
著者 :高橋 道雄
出版社:創元社
出版日:2006-05-16
価格 :¥500(2024/09/01 23:14時点)
r1(評価:級位者)
r2(評価:初段~三段)
r3(評価:四段以上)

初級者中級者を対象にした、振り飛車入門書。

内容は

  • 原始棒銀退治の四間飛車
  • 四間飛車vs4六歩戦法
  • 四間飛車vs4六銀戦法
  • 四間飛車vs左美濃
  • 三間飛車vs早仕掛け
  • ツノ銀中飛車
  • メリケン向かい飛車

といったところ。

最初の原始棒銀退治を載せたのはなかなか面白い試みだと思う。24の低級タブなどでは、こういう猪突猛進原始棒銀の使い手が結構いるらしいから、需要はありそうだ。惜しむらくは端攻めの変化が少し足りなかったことで、わざわざ言及しているのだから対抗策も書いて欲しかった。

また、全体の特徴として、詰みまで解説するというのがある。
「定跡書は途中までで終わっちゃうからそこからの指し手が判らない」という声を拾ったものと推察するが、少し微妙だ。というのも、手順を見ると結構難しい詰み筋だったりするのである。原始棒銀に困る棋力の人に読ませる内容ではない。(白砂の想像が当たっていたと仮定しての話だが)気持ちは察するしその姿勢を評価はするけれども、ちょっと要らなかったかな、と思う。それよりは、変化のひとつふたつを増やした方が有益だっただろう。

それぞれの手順については、対象棋力の問題もあるのでこれでいい。不満がある人は、「創元社定跡」だと思って諦めよう(笑)。

作成日:2006.07.08 
振り飛車全般

将棋定跡最先端 振り飛車編

将棋定跡最先端 振り飛車編
著者 :所司 和晴
出版社:(株)マイナビ出版
出版日:2006-03-01
価格 :¥150(2024/08/31 15:51時点)
r1(評価:級位者)
r2(評価:初段~三段)
r3(評価:四段以上)

以前「居飛車編」を出版していたが、今度は「振り飛車編」。
「最先端」、という言葉通り、最先端の変化が盛り込まれている。

四間飛車、中飛車、三間飛車、向かい飛車、相振り飛車のそれぞれについて、形を絞って深く解説している。
網羅的にというわけにはいかないが、そのかわり掲載されている形については十分なページが割かれているわけだ。これはこれでなかなか潔い選択だろう。

四間飛車▲4六銀戦法やXP、ゴキゲン中飛車▲3六銀型など、「知りたいがあまり解説されていない戦形」を取り上げて

作成日:2006.03.31 
振り飛車全般

角交換振り飛車

角交換振り飛車 (スーパー将棋講座)
著者 :畠山 成幸
出版社:創元社
出版日:2005-07-01
価格 :¥900(2024/09/01 09:45時点)
r1(評価:級位者)
r2(評価:初段~三段)
r3(評価:四段以上)

後手から角を交換して△4二飛とし、機を見て向かい飛車に振り直す、いわゆる「2手損四間飛車」を解説した本。
サブタイトルのネットで流行の真偽は判らないが、白砂の記憶では『奇襲大全』に少し載っていた程度で類書はほとんどなく、初めての解説書といっても過言でないと思う。

『奇襲大全』では四間飛車穴熊穴熊型のみが解説されていたが、本書では高美濃型も紹介されている。また、角交換拒否のタイプも紹介されているので、とりあえず指してみるには十分な情報が揃っていると言える。

個人的な事情を言うと、7七桂戦法の変化で似たような形になる(△6四歩型)ので、出版後すぐに買った。そして、すぐに「そうだこれは創元社だ……」と(笑)。
指し初めには有効だが、指しこなすには本書だけではちょっとキツい。実戦で揉まれる必要があるだろう。

作成日:2006.01.08 
四間飛車

新・振り飛車党宣言! 2

新・振り飛車党宣言! 2
著者 :千葉 幸夫
出版社:(株)マイナビ出版
出版日:2005-12-01
価格 :¥269(2024/08/31 15:06時点)
r1(評価:級位者)
r2(評価:初段~三段)
r3(評価:四段以上)

新シリーズの第2作目。イキのいい若手が振り飛車の解説をするという体裁は今回も同じである。

講座の内容は、

  • 居飛車穴熊松尾流に対して中飛車で牽制(△4四銀型も少し)。先後両方
  • 先手藤井システム▲1六歩止め▲4六歩型
  • ▲4七銀vsゴキゲン中飛車
  • 後手三間飛車急戦
  • 居飛車穴熊vs△3二金型三間飛車

名前は白砂が勝手につけているが、目次をそのまま転記するよりは判りやすいと思う。

居飛車穴熊に中飛車で対抗というのは、ミレニアム対策にも通じる指し方で、対ミレニアムとしては藤井本があった。陣形はあれとほぼ同じである。非常に綱渡り感が強いが、ギリギリのところを通していかないといけないくらい松尾流が優秀ということなのだろう。新人王戦で結果が出せたら本書に花を添えられたのだが、そこがちょっと残念だった(笑)。
▲1六歩型の藤井システムは、端の一手を▲4六歩に回して、早めに攻めようという形だ。端攻めはないが、もともと▲4五歩から攻めるのが本流でもあるし、ということなのだろう。これで潰せたら対穴熊は楽勝だよなぁ……などとちょっと疑いの目で見ているのだがどうだろうか? この辺りは実際に自分で確かめて欲しい。
ゴキゲン中飛車と三間飛車急戦は、なんかどこかで見たような解説で、そんなに新味はなかった。特に三間飛車は、コーヤン流とか加藤本などでフォローが利く内容だと思う。
最後の△3二金型石田流は、立石流とか7七桂戦法の形に組んで、早めに居飛車穴熊にプレッシャーをかけよう、という指し方。ちょっとアマチュアチックで、これはこれで面白い指し方だ。ただ、穴熊側がそこまでじっとしてるかという点は非常に気になる。これは穴熊党側の評価を聞いてみたい。

巻末の棋譜に解説をつけたり、次の一手を掲載譜とは違う形から取ったりと、前著に加えていろいろ工夫している。その努力は買いたい。「振り飛車」という大きいくくりのため少しバラ売り感はあるが、それは仕方がないだろう。
基本定跡を押さえている有段者であれば、買って損はないと思う。

作成日:2006.01.08 
振り飛車全般
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