将棋・序盤完全ガイド 振り飛車編
「序盤」「ガイド」とある通り、振り飛車の序盤についての「概略」を解説した本。もちろん全てを解説するのはムリなので、中飛車・石田流・角交換四間飛車のみに絞った解説となっている。
内容は以下の通り。
- 「序盤の基礎知識」として、そもそも「序盤」ってなんなのかというところから、振り飛車居飛車双方の基本的な指し方を解説している。
- 「歴史を振り返る」として、これまでの対抗形の歴史を紹介し、居飛車穴熊退治のために中飛車・石田流・角交換四間飛車が出てきた流れを解説している。その他、棋士の意識変化やインターネットの普及などについても触れている。
- ゴキゲン中飛車・石田流・先手中飛車・角交換四間飛車のそれぞれについて、戦法の概要や成功・失敗のケースから最新形までを解説する。
特に戦法の解説については、単なる概要だけではなく、狙いや理想形を示すことにより、振り飛車側はその形に向かって指していくし、居飛車側はそれを防止すべく動くという図式がよく判るようになっている。特に初段前後くらいまでの人は、他の定跡書を読む前に、まさにガイドとして本書を読むといいと思った。
また、第1部は、初級者が読むと将棋で使うさまざまな専門用語が判ると思うので、初級者はこれも押さえておいて損はないだろう。
従来の棋書に比べればはるかに「概念」についての説明が多いので、いわゆる「指さないファン」も満足できる内容になっていると思う。また、そこかしこに見られる極度の藤井推し(笑)などを見ても、よくネットを見て研究しているのだなぁ(笑)と思った。とはいえ、いわゆる「指さないファン」は、そもそもこういうことに興味があるのかなぁ……などともチラッと思ったりした。それを言い出してしまうと身も蓋もないのだが。
初段くらいのまでの人であれば一度は読んでみてほしい。3段くらいまでの人も、最新形の確認にはもってこいなので、一回目を通すのはいいと思う。