居飛車全般

コンピュータ発! 現代将棋新定跡

コンピュータ発! 現代将棋新定跡 (マイナビ将棋BOOKS)
著者 :suimon
出版社:マイナビ出版
出版日:2018-06-12
価格 :¥1,694(2024/08/31 15:10時点)
r1(評価:級位者)
r2(評価:初段~三段)
r3(評価:四段以上)

現在(2018年6月)流行っている、または流行っていた将棋の戦法のうち、コンピュータ将棋発のものを4つ抽出して解説した本。
もちろんプロの実戦などからも手を紹介しているが、floodgateでコンピュータ同士が対戦した棋譜を主に使用している。また、局面の評価についても、コンピュータの評価値を適宜紹介することで可視化している。昔、+とか±とか記号で形勢を表示していたものに似ているか。

戦形は以下の4つ。

角換わり▲4五桂
駒組の途中のような形からいきなり▲4五桂と仕掛けていく現代将棋の立ち位置を示すような戦法。成立する・しないは細かい形の違いによって変わってくるため、いろいろな形について、おもに玉の位置の違いを中心に解説している。
角換わり▲4八金
▲4八金▲2九飛、というか元をたどれば△6二金△8一飛型になるのかな、去年(2017年)千田がこれで升田幸三賞を取っていた形。原型となった△6二金▲5八金型と、△6二金▲4八金を解説している。
雁木
高見増田の「矢倉は終わった」に代表されるように、近年矢倉に代わって急速に指されるようになった。本書ではツノ銀型を主に解説している(もちろん通常型の雁木もちゃんとある)。
相掛かり△7四歩取らせ
説明が難しいが、早めに△7四歩と突いてそれを▲7四飛と取らせ、その飛車を△7三銀△6四銀と追い掛け回すことで手得を強調する指し方。プロでは山﨑がよく指していたと思う。これはさすがに力戦形なので体系だった解説は難しいが、いろいろな形についてまとめている。

まさに最新形の将棋ばかりだ。
形勢判断についてもかなりシビアで、いやここで先手有利かよ……というような局面もゴロゴロある。昔の『角換わり腰掛け銀研究』のような感じである。これは有段者でも読みこなすのは難しい。正直白砂も一読しただけでは入ってこなかった。ちょっと面倒でも各章ごとに3回くらいずつ読み返すか、盤駒の力を借りないと理解するのは大変だと思う。

欲を言えば、例えば▲4五桂にしても、昔は無理だと思われた形が現代に指されているわけで、例えばどの手順で無理だと思われていたのに思わぬ手があってそこに青信号が点ったから復活したとか、そういう「どんな新しい酒を盛ったのか」という部分の解説がほしかった。まぁそうなるとむしろ勝又教授の出番という気がしないでもないので(笑)、本書の立ち位置としてはあくまでも「プロを超えたコンピュータ将棋から見たプロの最新形」というこのスタイルでいいのか。

作成日:2018.06.15 
居飛車全般

仕掛け大全 居飛車編

仕掛け大全 居飛車編 (マイコミ将棋ブックス)
著者 :所司 和晴
出版社:(株)マイナビ出版
出版日:2007-03-01
価格 :¥1,154(2024/08/31 16:52時点)
r1(評価:級位者)
r2(評価:初段~三段)
r3(評価:四段以上)

『仕掛け大全 四間飛車編』『仕掛け大全 振り飛車編』に続く、仕掛け周辺の解説本。これで完結とのこと。

相居飛車ということで、矢倉・横歩取り・角換わり・相掛かりと、一通りの戦形は解説されている。
急戦矢倉や雁木、塚田スペシャルのような、誰が指してるんだという形も解説されていて、ガイドブックだから必要なんだろうなという思いと、限られた紙数なんだからもっと他に入れるべき形はあるんじゃないかという思いとが複雑に交錯してしまった(笑)。

シリーズ全般に言えることなのだが、やっぱりそもそものコンセプトがどうだったんだろうという気がする。
例えば、いろんな形・定跡をガイドブック的に紹介するというにしては、検索機能がとてもしょぼい。目次が検索の役に立たないのだ。なので、結局、大づかみでページを開いて、あとは1ページずつ見ていくしかない。で、見ていくと気づくのだが、やはり個々の変化が圧倒的に少ないため、ヒット数が少ない。正確に言えば、初期図面と指し手を照会し、ついでに解説されている変化まで対象にすればヒット率は上がるのだろうが、それを紙媒体で行うというのはとても苦痛である。
……ということで、本気で検索したいなら、結局『激指定跡道場』を買いなさい、という話になる(笑)←『激指定跡道場』には全ページ載っている。
てことはさぁ、このシリーズ3書って、ソフトに入れる局面を厳選するための抽出過程でできた指し手を集めて、それを書籍化しただけ? とか、いらぬ邪推をしてしまう。邪推だと思っていても、そう考えるとなんとなくいろんなことが腑に落ちるのだ。個々の指し手の解説が少ないとか(ソフトで1手ごとに表示される解説文はそんなに多くできないだろう)、ガイドブックといいながら検索しづらい目次とか(目がソフトの方を向いていて、紙媒体にまで目が回らなかった?)。

あくまで個人の感想なのでそこは押さえておいてほしいのだが、妄想はさておいても本書の作りがこういう意味で甘いのはきちんと指摘しておきたい。例えば目次をもう少し充実させるだけでも検索力は上がるだろう。そういう努力をもっとしてほしかった。

作成日:2014.12.30 
居飛車全般 仕掛け

将棋定跡最先端 居飛車編

将棋定跡最先端 居飛車編
著者 :所司 和晴
出版社:(株)マイナビ出版
出版日:2005-12-01
価格 :¥46(2024/08/31 22:02時点)
r1(評価:級位者)
r2(評価:初段~三段)
r3(評価:四段以上)

定跡伝道師の居飛車定跡解説本。
ということで当然のように『東大将棋シリーズ 居飛車編』の続編かと期待してしまうが、矢倉、横歩取り、角換わり、相掛かりを一冊でまとめてある。
もう少し詳しく説明すると、

  • 矢倉……4六銀戦法
  • 横歩取り……8五飛戦法、相横歩取り
  • 角換わり……早繰り銀、腰掛け銀、先手棒銀
  • 相掛かり……3六銀戦法

というラインナップである。
『東大将棋シリーズ』の中で結論が変わった部分を中心に構成されている。また、角換わりや相掛かりはこないだまでやっていた『週刊将棋』の連載をまとめたものだろう。
大げさに悪く言うと過去の東大将棋の補足本なのだが、それはそれとして親切なことだと思う。紙媒体は一度できあがってしまうとなかなか修正ができないが、こうやってきちんとフォローしてくれるだけでも十分にありがたい。

ただ、その分、角換わりや相掛かりについてのページか中途半端になってしまった感じだ。矢倉・横歩取りの修正分だけで本は出せないだろうということでこれらの項もまとめて出版したのだろうが、それがかえって悪い方に出ている。特に3六銀戦法は類書もまだ多くないだけに、「定跡伝道師」への期待は大きかったはずだ(白砂はあんま期待してないんだけどね(笑))。
それでも、最新の内容を追っていることには違いなく、居飛車党ならば目を通しておいて損はないだろう。
概説、と言えるほど網羅的ではないし簡単ではないので、級位者は手を出さない方が無難だと思う。もっといい本はある。

作成日:2006.01.08 
居飛車全般

相居飛車の定跡

相居飛車の定跡 (スーパー将棋講座)
著者 :青野 照市
出版社:創元社
出版日:2004-11-01
価格 :¥330(2024/08/31 22:02時点)
r1(評価:級位者)
r2(評価:初段~三段)
r3(評価:四段以上)

相居飛車の定跡、というので相掛かりから横歩取りから矢倉からなにからなにまで入っている本だと思ったら、違った。
相掛かり3七銀戦法と、対ウソ矢倉、それと相矢倉のみが解説されている。
要するに居飛車党なら上の3戦法を覚えれば十分だろうというのが本書の主張なのだ。▲2六歩と指し、後手が△8四歩としたら相掛かり3七銀戦法へ、△3四歩としたら▲7六歩から矢倉へ、というわけだ。後手だったらどうするの? という話はなかったことにするが(笑)、なるほど相居飛車を指したければそれだけで指すことはできる。

内容は創元社らしく簡潔にまとまっている。
3七銀戦法も矢倉も結局は先手が攻めていく形なので、「攻めが続くので棋力が低ければ先手(攻めてる方)有利」というコンセプトで選んだのだろう。気持ちよく攻めて、気持ちよく勝っている。もちろん実戦でそううまくいくかは判らないのだが、攻めの形、戦術(戦略ではなく)を学ぶには十分だ。
最終章の相矢倉は現在流行の矢倉形を紹介し、少しだけ骨っぽさの出しているので、初段くらいの人でも十分参考になるだろう。

もう少し詳しい攻防は東大将棋矢倉道場に任せて、「相居飛車を指す」ことに重点を置く。創元社らしい作りで、これはこれで役に立つ本だと思う。

作成日:2004.12.11 
居飛車全般

最新棒銀戦法 単純かつ破壊力抜群!

最新棒銀戦法 (将棋必勝シリーズ)
著者 :青野 照市
出版社:創元社
出版日:2001-02-01
価格 :¥1,430(2024/08/31 15:32時点)
r1(評価:級位者)
r2(評価:初段~三段)
r3(評価:四段以上)

その名の通り、棒銀について解説した本。
矢倉、角換わりと居飛車系の棒銀に限っている。対振り飛車は扱っていない。

自身が公式戦で指したためか、後手番での速攻矢倉棒銀については詳細に解説されている。▲2五歩を△3三角と受け、飛車先交換の瞬間に△8六歩から△2七歩と叩いていく例のやつである。
創元社の本にしてはおそろしく変化が深い。大げさではなく、東大将棋ブックス並である。最後はちょっとだけ都合がいい変化にしているところもあるが、それにしても小さなものだと思う。
有段者が読んでも十分に楽しめる。逆に級位者には変化の渦にとまどうかもしれない。このシリーズにしては異色の本である。

作成日:2001.07.20 
居飛車全般
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