すぐ勝てる!先手中飛車

すぐ勝てる!先手中飛車 (マイナビ将棋BOOKS)
著者 :佐々木 慎
出版社:マイナビ
出版日:2012-08-24
価格 :¥1,650(2024/08/31 18:41時点)
r1(評価:級位者)
r2(評価:初段~三段)
r3(評価:四段以上)

▲5六歩と指して中飛車にすれば先手必勝! とでも言いたげな、「おいおい毎コミが創元社になっちゃったよ」本。昔の『なんでも中飛車』のような本、と考えればいいのかな。

内容は、

  • 5筋の位取りを拒否してくる形
  • 5筋の位を取らせてくれる形
  • △6三銀型
  • 相振り飛車型

である。中飛車党であればこの説明だけでなんとなくどの形かは想像がつくだろう。
いろんな本で紹介されている形を丁寧にスクラップしてカタログ化して見せてくれている感じの本である。独創性はあまりないかもしれないが、初級者向けの本なのだからこれでよい。むしろこれだけの内容をよくまとめたなと思う。

全体的に後手の対応がぬるかったり、この対象棋力で「穴熊にして袖飛車」などちょっとなぁ……と(←個人の感想です)いう部分もないわけではないし、この対象棋力であれば相中飛車は入れといて欲しかったななどという要望はあるものの、前述した通りカタくまとめてある教科書としてふさわしい作りになっていると思う。初段くらいまでであれば、本書を読めば立派な振り飛車党になれるだろう。逆に有段者はパラパラ見ればそれでいい感じだ。

シリーズ化するということなので、第2段の右四間飛車が今から楽しみである。

作成日:2012.09.16 
中飛車

初めてでも指せる! 戸辺流振り飛車で攻め勝つ

初めてでも指せる! 戸辺流振り飛車で攻め勝つ (NHK将棋シリーズ)
著者 :戸辺 誠
出版社:NHK出版
出版日:2012-06-14
価格 :¥1,320(2024/08/31 15:51時点)
r1(評価:級位者)
r2(評価:初段~三段)
r3(評価:四段以上)

2011年度後期のNHK将棋講座の内容をまとめたもの。「めぢからあ」や「ほおむらぁん」と共に、「今日の」「戸辺攻め」などとやっていたあの講座である。

内容はいたってシンプルに、

  • ▲5六歩からの中飛車
  • 後手ゴキゲン中飛車
  • 石田流

の三本立て。

超速などの最新対策は載っておらず、精緻な定跡を駆使して勝つというよりは振り飛車側の勝ちパターンを解説して「それを目指して指していこう」という教え方をする本である。最初に概要をまとめたりチャートや成功図などを載せることで、ビジュアル的にも分かりやすく工夫されていると思う。

「目指せ初段」という企画の講座ではあったが、本書をしっかりマスターして実戦を積んでいけば、初段どころか2・3段クラスまではいけると思う。題材を少なくして解説を多くした企画の勝利だろう。なかなかの良書である。

作成日:2012.09.16 
振り飛車全般

矢倉棒銀戦法

勝てる矢倉戦法 (将棋最強ブックス)
著者 :高橋 道雄
出版社:創元社
出版日:2012-05-11
価格 :¥1,430(2024/08/31 16:10時点)
r1(評価:級位者)
r2(評価:初段~三段)
r3(評価:四段以上)

創元社で同じ著者が出している『最新矢倉戦法』の続編的内容の本。というより、『勝てる』シリーズの矢倉編、と言った方がいいのかもしれない。

内容は、

  • 矢倉棒銀
  • 3筋交換型
  • 4六銀戦法
  • スズメ刺し

の4つ。
とはいえ、全体的にメインストリームでない形を扱っている。
例えば、第3章の4六銀型では、後手の陣形は「△5三銀△4二角型」である。現代ではとにかく先に△6四角と牽制して、そのあと銀の動きを決めるのが一般的だろう。
悪い言い方をしてしまえば「後手に都合のいい悪手を指させている解説」なのだが、しかし良い言い方をすれば「最新定跡通りに指してこない級位者向けに、最新定跡から外れた形を解説する」本ということになる。創元社刊ということを考慮するなら、ここは好意的に考えてあげるのが優しさというものだろう。

そういうわけで、最新定跡が飛び交う有段者の役には立たないかもしれないが、緩手に対してつぶし方を知っておくのも悪くはないと思う。一度は読んでみるのもいいかもしれない。

作成日:2012.07.30 
矢倉

最新戦法 マル秘定跡ファイル

マイナビ将棋BOOKS 最新戦法 マル秘定跡ファイル
著者 :村田 顕弘
出版社:マイナビ
出版日:2012-02-23
価格 :¥856(2024/08/31 16:52時点)
r1(評価:級位者)
r2(評価:初段~三段)
r3(評価:四段以上)

なんというか、普通の(?)定跡解説書とも違うし、かといって変態戦法紹介とも違う、ちょっと珍しい本。

内容は

  • 丸山ワクチン
  • 四間飛車穴熊vs銀冠
  • 石田流vs居飛車穴熊
  • 一手損角換わりvs早繰り銀
  • 横歩取り△5二玉型に対する先手の対策
  • ▲7六歩△3四歩▲6六歩の相振り
  • ▲7六歩△3二飛の相振り

基本的には居飛車党から見た本で、対抗系の場合には居飛車が勝ちになる。ただ、普通の定跡書と違うのは、どちらかというと、というか完全に「これ一本」の解説書なのである。
例えばよくある変態戦法本だと、例えば▲7六歩△3四歩に▲2二角成△同銀▲7七桂として後はどうやっても先手必勝とか(<をい)、そういう「どんな将棋でも自分の土俵に引きずり込んで勝つ」、という作りになる。本書はどちらかというと迎撃型の戦法なので、そこがちょっと違う。

それぞれの戦法は面白いし、自分のものにできれば不毛な(と敢えて言います。プロの方には頑張ってそれを極めてほしいですが)最新定跡の嵐から開放されるので、初段くらいの人は楽しんで将棋が指せるようになると思う。ただ、そうなるには実戦で鍛えに鍛える必要があるのかな、とも思う。
3段くらいまでの人は、一度読んでみるのはいいのではないだろうか。

作成日:2012.02.29 
全般

横歩取り必勝ガイド

マイナビ将棋BOOKS 横歩取り必勝ガイド
著者 :稲葉 陽
出版社:マイナビ
出版日:2012-02-22
価格 :¥1,049(2024/09/01 09:52時点)
r1(評価:級位者)
r2(評価:初段~三段)
r3(評価:四段以上)

「ガイド」と聞くと、もう中年オヤヂの白砂は「黄色本」を連想してしまうのだが(笑)、まさにそんな感じの横歩取り8五飛戦法の解説書。
内容は

先手中住まい
8五飛戦法に対して▲5八玉とする、かなりクラシックな形。それこそ8五飛戦法の黎明期からある形である。ただし、古き皮にもいろいろな新酒が注がれているので、古くて新しい形が楽しめる。
新山崎流
居玉のまま▲4八銀▲3七桂とする新山崎流。大げさではなく8五飛戦法が絶滅の危機に瀕するほどの実に論理的に構築された形なのだが、今では8五飛側が様々な対策を打ち出している。そのあたりを中心に。
△5二玉型
2012.2現在で最もホットな8五飛戦法の形。まぁ言ってしまえば「目先を変えた手」ではあるのだが、それゆえに微妙な形で△4一玉型では成立しない指し手が成立したりと、おそらくプロ棋士自身が楽しんで鉱脈を探している形である。そういう最新系なので、書き換わる可能性は十二分にある。
△8四飛型
8五飛戦法が指されたことで、旧式(?)の8四飛空中戦(内藤棋聖の十八番であった。ああ懐かしい。というか白砂もさすがにリアルタイムでは知らない(笑))がもう一度クローズアップされた。「8五飛戦法で培った手筋がこっちにも使えんじゃね?」というわけである。なので、それはそれでそこそこ指されている形である。

といったところ。

また、最後に「横歩取り詰将棋」として、8五飛戦法の囲いである中原囲いを詰ます実戦詰将棋が8題載っている。
この戦形を指しているんであれば、詰将棋アレルギーの人もぜひ「見て」ほしい。解答を見てしまっても構わない。知っているのと知らないのでは大違いである。
広い層に薦められる、とても「カタく」まとまっている良書だと思う。

作成日:2012.02.29 
横歩取り
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