寄せの極意

寄せの極意:終盤の華麗な技で勝利をつかめ! (スーパー将棋講座)
著者 :高橋 道雄
出版社:創元社
出版日:2008-02-01
価格 :¥1,320(2024/08/31 23:32時点)
r1(評価:級位者)
r2(評価:初段~三段)
r3(評価:四段以上)

寄せの技術についての解説本。
各テーマごとに、見開き2ページの基本問題と、テーマを応用した実戦解説を4ページ前後費やしている。
サブタイトルが対居飛車・対振り飛車となっているが、著者が純粋居飛車党ということもあって、対居飛車は矢倉のことであり、対振り飛車は居飛車から見た美濃・穴熊攻略である。振り飛車党は逆の立場で読まなければいけないし、横歩取りなどは出てこない。

「とにかく上から押さえていこう」「王手をかけて玉を逃がすのは下策」といった感じの初級編テイストではあるが、基本問題から全体図を使用しているため、やや複雑な印象を受けた。このレベルのことを解説したいのであれば、部分図にしたほうが頭には入りやすいんじゃないかなぁ……と思う。
また、ちょっとムリがないかこのテーマは? というものもないではない。「遊び駒を活用せよ」とか「盤面を広く見ろ」とか、これは寄せの極意というよりは常に考えておなければならないことだと思うのだが(笑)。また、基本問題で美濃囲いの▲7四桂という手を解説しておきながら実戦編では▲9四桂という手を出すとか(▲7四桂の筋はかけらも出てこない)、ちょっとチグハグな部分もないではなかった。この辺りの部分をもう少し整理して削り、横歩系の陣形に対する寄せを盛り込んだ方が、内容としては充実した気がする。

やや重箱の隅的な注文ではあるが、逆に言うとそれ以外の部分、たとえば問題のレベルや解説の多寡などは非常にバランスが取れていてすばらしい。創元社らしい初級者に優しい作りになっていると思う。
前述のとおりすべてが全体図なのでとっつきにくい印象があるかもしれないが、初段前後までであればお勧めできる良書である。

作成日:2008.03.22 
終盤・寄せ

将棋・ひと目の端攻め―攻防の手順がわかる200問

将棋・ひと目の端攻め (マイコミ将棋文庫SP)
著者 :週刊将棋
出版社:毎日コミュニケーションズ
出版日:2008-01-30
価格 :¥1,100(2024/08/31 18:31時点)
r1(評価:級位者)
r2(評価:初段~三段)
r3(評価:四段以上)

「端攻め」という1ジャンルにしぼって解説している手筋本。一局の将棋で端がからまないということなどはほとんどなく、そういう意味では必修手筋とも言えるはずなのだが、これまであまりクローズアップされてこなかった。
もちろんそれは触れてこなかったという意味ではなく、実は「歩の手筋」「囲いの崩し方」という形で取り上げられてはいた。しかしそのためやや手筋が分散してしまった感があった。本書では、200問の次の一手形式で端攻め手筋を網羅している。

端攻めの基本手筋から始まって、終盤での手筋、囲いの崩し方と、本当にいろいろな形での端攻めが載っている。また難易度も、▲4六角△1一香△1四歩持駒歩歩の局面で「▲1二歩△同香▲1三歩で香得が確定」というレベルから(正直、最初の問題がこれだったので「入門書だったのか?」と少し不安になった)9手くらいの一連の手筋までさまざまだ。下は初心者(初級者ではなく)から上は2、3段くらいまで十分に楽しめる。

個人的な話になるが、今回200問を解いてみて、自分がやはり振り飛車党だということがよくわかった。矢倉の崩し方の正答率が他に比べてかなり低かった(4、5問は出なかった)。「自分の客観的な将棋観をはかる」という、ちょっと変わった楽しみ方もできるようだ(笑)。

有段者にとっては常識レベルの話だろうが、そこまで行かないなぁ……という人であれば、一度目を通しておくのもいいと思う。いっぺんでいいなら立ち読みでも十分だが、できればたまに読み返して棋力が落ちてないかをはかる試験にするという読み方もある。
次の一手形式というサラッと読める形式なので、こちらもそれを活かした読み方をするべきだ。

作成日:2008.03.20 
次の一手 手筋

東大将棋ブックス四間飛車道場 第1巻 ミレニアム

四間飛車道場 第1巻 (東大将棋ブックス)
著者 :所司 和晴
出版社:(株)マイナビ出版
出版日:2001-10-01
価格 :¥29(2024/09/01 09:45時点)
r1(評価:級位者)
r2(評価:初段~三段)
r3(評価:四段以上)

東大将棋ブックスのシリーズの栄えある1冊目。当時流行していたミレニアムを扱っている。この当時はまさかあと16冊も出るとは思わなかったが、しかし、衝撃的なほどに内容が濃かったことは間違いない。

内容は、

▲6七金型
早めに▲6七金と上がって桂頭を守る。
▲6六角型
▲6六角▲7七桂から▲8九玉と引き、▲8八銀▲7九金▲7八金とガチガチに囲う
▲5五角型
やや特殊な形。振り飛車を牽制する狙い

となっている。
『四間飛車の急所1』などの新しい本を読むと、本書の振り飛車はやや無策で、ミレニアム側に都合がいい手順が多い。しかし、当時はそれだけミレニアムに対する距離感がわからなかったということの証左でもある。
東大将棋シリーズらしい丁寧でない編集(<ごめんなさい)のために非常に読みづらいのだが、内容はギッチリ詰まった良書である。

作成日:2007.09.21 
四間飛車

世紀末四間飛車 持久戦之巻

世紀末四間飛車 持久戦之巻
著者 :櫛田 陽一
出版社:(株)マイナビ出版
出版日:1991-05-01
価格 :¥1,000(2024/09/01 07:47時点)
r1(評価:級位者)
r2(評価:初段~三段)
r3(評価:四段以上)

『世紀末四間飛車 急戦之巻』に続く世紀末四間飛車シリーズ第2弾。本書は。持久戦を扱っている。

内容は玉頭位取り、5筋位取り、左美濃、居飛車穴熊。左美濃に▲8八玉型があるあたり、時代を感じさせる。
あいかわらず不親切な(笑)解説で、場合によってはおいこれで本当に振り飛車有利なのか? という局面もある。鈴木大介よりすごいかもしれない(笑)。

作成日:2007.09.21 
四間飛車

世紀末四間飛車 急戦之巻

世紀末四間飛車 急戦之巻
著者 :櫛田 陽一
出版社:(株)マイナビ出版
出版日:1990-12-01
価格 :¥530(2024/09/01 09:44時点)
r1(評価:級位者)
r2(評価:初段~三段)
r3(評価:四段以上)

『スーパー四間飛車』の小林八段とほぼ時を同じくして出てきた振り飛車党に櫛田五段がいる。その彼の書いたのがこの世紀末四間飛車シリーズである。本書はその1巻目。急戦について扱っている。

内容はナナメ棒銀、▲4五歩早仕掛け、棒銀、5筋位取り、▲4六銀、右四間飛車と一通り。いずれも居飛車先手四間飛車後手で解説されている。

△3二銀で待機せず、さっさと△4三銀と上がっておいて十分、というのが世紀末流で、現在の視点から見るとやや荒い感じはする。たとえば『東大将棋ブックス四間飛車道場 第6巻 最強1二香』『四間飛車の急所 4 最強の4一金型』などは「通常の形では振り飛車がやられるから形を変えよう」という思想に基づいてシステム化されている。
しかし、とにかく美濃囲いに組んで△4三銀と上がって、この形を組んでしまえばあとはどうとでもなる、というある種の開き直り(笑)はアマチュアにとってありがたいことでもある。細かいことをこちゃこちゃやりたい人は8五飛戦法でも指していればいいのだ。振り飛車は暴れてナンボである(←暴言)。

というわけなので、厳密には少し振り飛車が苦しいのかもしれないが、そんなことを気にせずまず形を覚えよう、という初段前後くらいまでにはお勧めの本。

もっとも、そもそも新刊では手に入らないだろうが……

作成日:2007.09.21 
四間飛車
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