終盤の鬼 森信雄の強くなる将棋

終盤の鬼: 森信雄の強くなる将棋 終盤の謎に取り組み、棋力アップを目指す。
著者 :森 信雄
出版社:山海堂
出版日:2005-08-01
価格 :¥200(2024/08/31 16:43時点)
r1(評価:級位者)
r2(評価:初段~三段)
r3(評価:四段以上)

次の一手形式で寄せの勉強をする本。

最初にちょっとした解説ページがあり、そのあとはひたすら問題を解いて鍛えていく方式である。
ちょっと面白いのが、問題のページにヒント図面があり、「▲○○○という手ではこうなってダメ」みたいなものが図入りで載っていること。こういう、最初に失敗図を示すという形式の問題集は初めて見た。
要するに、問題形式にはなっていても、その実これは講義形式であり、だから問題を解くというよりはどんどん読み進んでしまっても構わないようになっている。一通り読む(図面を見る)ことによって、寄せの形や手順を叩き込むという本だ。

問題自体はなかなか骨っぽいものも入っているが、上級になると逆に「スーパートリック(作者にちなんで言ってみました(笑))」っぽくなっていて寄せの教材という感じではなくなる。もう少しターゲットを絞って、実戦的な問題集(寄せ講義)としてまとめた方が本としては生きたのではないか……と思った。
試みとしては悪くないので、『寄せが見える本』一歩手前の読者を対象とするくらいで続編を作ってほしい。

作成日:2005.10.26 
次の一手 終盤・寄せ

久保利明のさばきの極意

久保利明のさばきの極意 (NHK将棋シリーズ)
著者 :久保 利明
出版社:NHK出版
出版日:2005-09-14
価格 :¥50(2024/08/31 18:44時点)
r1(評価:級位者)
r2(評価:初段~三段)
r3(評価:四段以上)

最近刊行を連発しているNHK将棋講座のひとつ。著者自身の実戦から、振り飛車の「さばき」を学ぼうという講座である。

元々が15分の講座ということで、できることも限られてくる。そのため、詳しく変化をいろいろ解説する──というわけにはいかないが、その代わりさばきの「心得」がなんとなく身につくような構成になっている。創元社の鈴木大介本のようだ……というと両方から怒られそうだが(笑)、イメージとしてはそんな感じである。
このシリーズ自体の装丁がどうも肌に合わないようで、白砂は少し読みづらさを感じた。この辺は以前にも書いた通りだ。白砂個人の問題であればいいのだが、ひょっとすると読みづらくなるなにかがあるのかもしれないので、できれば立ち読みで少し読んでみてほしい。杞憂に終われば全く問題ないので、その辺は各自の判断にお任せする。

内容自体は講座でやったことでもあり、自戦記が載っているようなものなので、気軽に読めると思う。こういう説明が正しいのか判らないが、基礎体力をつけるというよりは精神力を鍛える本のように感じた。そういう「雰囲気」をうまいこと表現できているところは評価したい。

作成日:2005.10.26 
手筋

二枚落ち裏定跡

二枚落ち裏定跡 (パワーアップシリーズ)
著者 :所司 和晴
出版社:マイナビ出版(日本将棋連盟)
出版日:2005-10-01
価格 :¥785(2024/09/01 06:52時点)
r1(評価:級位者)
r2(評価:初段~三段)
r3(評価:四段以上)

「定跡伝道師(ってぇキャッチフレーズもどうかと思うが……)」所司が出した2枚落ちの解説本。2歩突っ切りと銀多伝を紹介した後、5五歩止めや△6三銀の多伝殺し、△3二金△2二銀型といった上手の裏定跡を紹介している。

個人的には最後の▲3六銀型が目新しい程度で、その他の裏定跡は『定跡なんかフッ飛ばせ』などで目にしたことがある。そんなに裏……という感じがしなかったのだが、白砂が定跡ヲタであることを考えると正しい感想かどうか自信がない(笑)。

もっと言ってしまうと、それ以前に駒落ちを指す機会そのものがあまりないので、定跡ヲタ以外のどの層に購買層があるのかがよく判らない。

作成日:2005.10.26 
駒落ち

すぐに使える将棋の手筋 下

すぐに使える将棋の手筋 下 (週将ブックス)
著者 :週刊将棋
出版社:(株)マイナビ出版
出版日:2005-09-01
価格 :¥1,430(2024/09/01 06:55時点)
r1(評価:級位者)
r2(評価:初段~三段)
r3(評価:四段以上)

上巻が少し前に出ていて、その下巻。駒ごとの手筋をまとめた本だ。
執筆をしなければならない状態ならさておき、ただまとめるだけなのになんでわざわざ上下巻をこんな間隔開けて出したんだろう? と少し不思議に思った。いろいろあるんだろうねきっと。

内容は前回と同じ。というわけで評価も上巻とまったく同じにした。
上巻が読める人であればちょうどいいだろうし、上巻がダメなら下巻もダメである。

作成日:2005.10.26 
手筋

新・振り飛車党宣言! 1

新・振り飛車党宣言! 1
著者 :佐々木 慎
出版社:(株)マイナビ出版
出版日:2005-09-01
価格 :¥202(2024/09/01 21:34時点)
r1(評価:級位者)
r2(評価:初段~三段)
r3(評価:四段以上)

20世紀の頃(と書くとすごい昔に感じる(笑))、『振り飛車党宣言』というシリーズがあった。若手が振り飛車の最新研究を披露するという試みで、個人的には実戦譜が多く研究が薄いのであんまりだったのだが、それでもなかなか好評だったと思う。
今回は「21世紀の若手」とも言うべき面々が、最新研究を披露してくれている。

内容は昔のままで、一人ずつ2本の講座、自戦記、次の一手、実戦譜という構成。
今回の講座は、

  • △6四銀、△5三銀左の急戦(▲4六歩と突いている形=▲4六角の反撃がない分居飛車が得)
  • 藤井システムっぽい形からの居飛車穴熊、ミレニアム対策
  • 居飛車穴熊(含松尾流)vs△4四銀型

といったところ。
急戦対策は必要だし、ミレニアム対策はあんまり棋書も多くないし、vs松尾流は渡辺本を超えてる部分もある(ちょっとだけ言うと、△4五飛▲2四飛に、△4九飛成としないで端を攻める。この手は渡辺本に載っていない)ので、四間飛車党であれば迷わず買い。居飛車党も、四間飛車側の手の内を知るという意味で読んでおいてもいいだろう。
ただ、前シリーズを踏襲しているせいもあって、解説自体は少ないし、そもそも基本定跡は扱っていない。あくまでも基礎が判っている人が読む本になっている。そういうところを合わせて考えると、初段くらいまででは少し読みづらいかもしれない。

作成日:2005.10.26 
振り飛車全般
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