羽生の法則 Volume4 飛角の手筋

羽生の法則 Volume4
著者 :羽生 善治
出版社:マイナビ出版(日本将棋連盟)
出版日:2004-12-01
価格 :¥79(2024/09/01 06:56時点)
r1(評価:級位者)
r2(評価:初段~三段)
r3(評価:四段以上)

法則シリーズ第4段。最後は大駒の飛角。
これで一応駒のシリーズは全て終えたはずなので、おそらく一段落ついたと思われる。

内容はといえばいつものように問題形式で手筋を紹介しているが、やはりいつものように初段前後、もしくは級位者を対象にしている感じだ。定跡手順の解説もいくつかあったりして、あくまでも基本手筋を紹介するだけにとどめている。
それをありがたいと感じる棋力の人は買い。
できれば、購入前にパラパラとめくって対象棋力に合っているかどうかを確認してほしい。

せっかく羽生をかつぎ出して本を出しているのだから、今度はもう少し高度な話にしてほしい。もちろん棋力の底上げも大事だし普及も大事なんだけど、羽生だからこそできることというのがあると思うのだ。

作成日:2005.01.14 
手筋

我が道を行く定跡の裏街道

我が道を行く定跡の裏街道: チェックポイント付き (週将ブックス)
著者 :週刊将棋
出版社:(株)マイナビ出版
出版日:2004-12-01
価格 :¥223(2024/09/01 14:20時点)
r1(評価:級位者)
r2(評価:初段~三段)
r3(評価:四段以上)

『定跡外伝』系の本だと思っていたら、『B級戦法の達人』系の本だった。奇襲・変態戦法を20、紹介する本。

「紹介」と書いたが、変化がほとんど書かれていない戦法も数多くあるので、解説とまで言えない。もう少し数を絞って解説を増やして欲しかったという気もするし、いやそんなことよりよくぞいろいろ紹介してくれたという気もするのでなんとも言えない。これはもう、本書をどう見るかによるだろう。
振り飛車系の将棋が多いが、アマチュア向けということだから仕方がない。

パックマンや後手角頭歩などはさすがにウソ(対策が知られているのに触れていない)だし、パーフェクトディフェンスなどはそもそもこうなるのかどうかがウソ臭い。
それでも、よくもまぁ変態戦法をこれだけ集めたものだ。
いくつかは自分で指してみたいと思うものもあった。20あるうちの一つでも気に入ったものがあれば、それで本書は成功なのだろう。

ちなみに、本書に出てくる「対振り棒金」。これ、まんま3二金戦法である。
掲示板に指摘があって読んでみたのだが、白砂の実戦にほとんど同じ攻め筋(斬られ役側の攻め筋も)が出てくる。
ここに白砂の実戦譜があるので、44手目以降と本書を比べてみて欲しい。

3二金戦法、ついにメジャーデビ……

違う

作成日:2004.12.25 
奇襲・変態戦法

東大将棋三間飛車道場3 急戦

三間飛車道場 第3巻 (東大将棋ブックス)
著者 :所司 和晴
出版社:(株)マイナビ出版
出版日:2004-10-01
価格 :¥823(2024/09/01 09:47時点)
r1(評価:級位者)
r2(評価:初段~三段)
r3(評価:四段以上)

今度の東大将棋道場は急戦。昔からある▲3七桂と跳ねて▲4五歩と突く急戦と、桂を跳ねずにいきなり▲4五歩と仕掛ける急戦が載っている。あと、5筋を突かない形に対しての急戦もあるが、これはもともと三間飛車が悪いとされている形で、旧来の定跡に近い。

正直、時代が変わったなと思った(笑)。白砂が学生の頃には、対三間飛車の急戦は▲3七桂跳ねしかなかった。しかも▲8八角には△4二金が最善で、△4三金は二枚替えの変化があって後手損と言われていた時代である。現在では△4三金が最有力とされているし、いきなり▲4五歩と仕掛ける急戦なんて聞いたことがなかった(知らなかっただけかもしれないが)。
二枚替えの変化はウソで、実は△4三金が有力ではないかという話が始めて出たのが白砂の記憶では『定跡外伝』。それからしばらくは三間飛車の本など見かけることすらなかったのだが、ここ1年ほどで、コーヤン流深浦本加藤本など、様々な急戦の解説書が出版された。本書もなんか流行に乗った感はあるが(笑)、貴重な一冊だろう。

内容は始めに述べた通りだが、実際によく読むと、既存の定跡書とは微妙に採り上げている変化が違ったり、書き込みの量も違ったりする。別の定跡書をお持ちの方は、実際に読み比べてみて欲しい。ある本で掘り下げられている変化を「これはダメ」とあっさり流していたりもしている。
また、冒頭で5筋不突き急戦の話をしたが、実際にこの定跡を詳細に解説した本を白砂は初めて見たので、そういう意味では参考になるかもしれない。おそらくほとんどの三間飛車党は普通に▲5六歩△5四歩と指してくるだろうから役には立たないと思うのだが(笑)、知っておくことは必要だ。

作成日:2004.12.11 
三間飛車

最強の駒落ち 講談社現代新書 1757

最強の駒落ち (講談社現代新書)
著者 :先崎 学
出版社:講談社
出版日:2004-11-19
価格 :¥609(2024/09/01 15:09時点)
r1(評価:級位者)
r2(評価:初段~三段)
r3(評価:四段以上)

8枚落ちから2枚落ちまでの駒落ち定跡を解説した本。『将棋世界』の連載「駒落ちのはなし」を加筆修正し、いくつか変化をプラスしたものである。

本書の特徴はなんと言っても「上手の指し方」が書かれていることだろう。
『将棋大観』はそもそも上手はうまく斬られるのが前提となっているし、『定跡なんかフッとばせ』は上手のゴマかし方は載っているが、あくまでも下手側から見た「紛れ筋」として採り上げられているだけだ。本書は、おそらく初めて「上手の目線」からも駒落ちを語っている本だ。

内容も十分に面白い。
8枚落ち棒銀対策、6枚落ち矢倉・四間飛車、4枚落ち向かい飛車(おそらく加筆分)など、始めて見る戦法も数多い。また、2枚落ちに代表されるような完成した駒落ち定跡もきちんと解説されている。本書を読めば、駒落ちを指したくなることは間違いない。

一貫して主張されるのは「駒落ちは力を養うのに最適」ということ。
最近は指されていないが、確かに駒落ちは将棋の体力がつく。平手だと勢力が均衡しているためになかなか攻めや受けの手筋を使うことはできない。しかし、8枚落ちではこちらが攻め潰すかどうかが問われるし、2枚落ちではたった金一枚ではあるが「攻めてくる恐怖」と戦うことになる。上手の戦力を減らすことによって、強くなるためのテーマが明確になるわけだ。
実際、白砂の同級生の女の子(昔、田中寅彦のNHK将棋講座でパソコンをいじってた子)は、東京渋谷「高柳道場」に通い、6枚落ちから2枚落ちを指して1年弱で初段程度になった。プロの指導のおかげもあるだろうが、自分の棋力に合わせて考えることができるのは駒落ちの最大の長所である。

白砂は自称定跡ヲタなのだが、振り返ってみるとその発端は『定跡なんかフッとばせ』だったような気がする。完成された二枚落ち定跡があり、実はそこには様々な裏街道がありと、ヲタ垂涎の内容だった。
本書は、そんな定跡ヲタを満足させる内容でもある。一回は読んで損はない

作成日:2004.12.11 
駒落ち

相居飛車の定跡

相居飛車の定跡 (スーパー将棋講座)
著者 :青野 照市
出版社:創元社
出版日:2004-11-01
価格 :¥330(2024/08/31 22:02時点)
r1(評価:級位者)
r2(評価:初段~三段)
r3(評価:四段以上)

相居飛車の定跡、というので相掛かりから横歩取りから矢倉からなにからなにまで入っている本だと思ったら、違った。
相掛かり3七銀戦法と、対ウソ矢倉、それと相矢倉のみが解説されている。
要するに居飛車党なら上の3戦法を覚えれば十分だろうというのが本書の主張なのだ。▲2六歩と指し、後手が△8四歩としたら相掛かり3七銀戦法へ、△3四歩としたら▲7六歩から矢倉へ、というわけだ。後手だったらどうするの? という話はなかったことにするが(笑)、なるほど相居飛車を指したければそれだけで指すことはできる。

内容は創元社らしく簡潔にまとまっている。
3七銀戦法も矢倉も結局は先手が攻めていく形なので、「攻めが続くので棋力が低ければ先手(攻めてる方)有利」というコンセプトで選んだのだろう。気持ちよく攻めて、気持ちよく勝っている。もちろん実戦でそううまくいくかは判らないのだが、攻めの形、戦術(戦略ではなく)を学ぶには十分だ。
最終章の相矢倉は現在流行の矢倉形を紹介し、少しだけ骨っぽさの出しているので、初段くらいの人でも十分参考になるだろう。

もう少し詳しい攻防は東大将棋矢倉道場に任せて、「相居飛車を指す」ことに重点を置く。創元社らしい作りで、これはこれで役に立つ本だと思う。

作成日:2004.12.11 
居飛車全般
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