東大将棋ブックス四間飛車道場 第14巻 藤井システム封じ
おなじみの東大将棋シリーズ。今回は「藤井システム封じ」。これだけだと意味が判らないが、要するに早めに▲3六歩と突いて急戦を匂わせて、△6二玉とさせてから穴熊に組みに行く形のことである。
▲3六歩と突く形は昔からあったが、現在ではシステム側の形が4三銀型なので、従来の3二銀型とは違う攻防になる。最新の形であり、当然『島ノート』よりも詳しく解説されている。システム党も穴熊党も、目を通しておいて損はない。
惜しいのは、やはり体裁だろう。
形を決めて突っ込んで解説する、というのがこのシリーズの方針なので仕方がないのだが、それならそれでどうとでもできると思う。特に、今回は目次だけ見ると1章なのに解説が数ページとか、なんじゃそりゃあという構成になっている。
せめて、深く研究する部分については目次も深くしてほしい。その方が絶対に読みやすい。変に目次の体裁も統一しようとするからおかしくなるのだ。「1-3-2-4 ▲2四歩に△6五歩」となったっていいじゃん。それくらい深い部分なんだよと判るんだから。
それと、改めて思った。
このシリーズの体裁が悪い理由は、やはり「文字を書く行数」が少ないからなのだろう。
例えば、分岐があったとして、
1.▲5五歩 2.▲9九玉 3.▲9六歩
と書くのと、
- ▲5五歩
- ▲9九玉
- ▲9六歩
と書くのとでは「見やすさ」が違う。
しかし、後者の方が「行数」を喰う。おそらくそのためだろう、このシリーズの書き方は前者に統一され、そして非常に読みづらい。
解説を増やせというわけではなく、その見せ方をなんとかしてくれと言いたいのだが、行数を詰めることしか考えていないようなので、この部分が改善されることはきっとないだろう。
そうして、読みにくい本がどんどん出版されていく(笑)