必至のかけ方 寄せのコツを体得する

必至のかけ方: 次の一手問題集 寄せのコツを体得する (将棋終盤力養成講座 4)
著者 :勝浦 修
出版社:創元社
出版日:2003-04-01
価格 :¥73(2024/09/01 08:58時点)
r1(評価:級位者)
r2(評価:初段~三段)
r3(評価:四段以上)

必死といえば金子タカシ、という風に、白砂のような昔の人は(つったってまだ33なんだがなぁ……)ほぼ条件反射的に出て来てしまうので(笑)、逆に他の人の必死本だと少し胡散臭げな目で見てしまう。「ちゃんと書いてんのかぁ?」って(<をい)。
でも、本書はお勧め。金子タカシの必死本より、かなり易しい問題が揃っている。

級位者であれば、金子タカシよりはまず本書を読むことをお勧めする。形式的には必死の解説と問題がいっぱいという同じものなのだが、題材が1・3・5手の必死に絞られているので、無理なく考えられる。多分、級位者では3手の必死を考えるのも大変だろうから。

必死問題の3手と詰め将棋の3手は全然違って、詰め将棋は3手でちゃんと終わるから、読みの「深さ」は3手でいい。しかし、必死問題は3手で必死をかけた後に実際に詰ますまでが5手とか7手、場合によっては10数手とかになってしまうので、実際の読みの深さはかなりなものになる。
これを級位者が読むというのは大変なことだ。それがちゃんと読めるのなら初段と認めてもいいかもしれない。
本書の問題は、意図的かどうかは判らないが、必死がかかったあとの詰み筋があまり長く難しくない。なので、そんなに深く読まなくても、必死の「形」が解ける楽しみとともに習得できる。
これは、問題を作った人(多分勝浦じゃないよね……)の勝利だと思う。

本書で覚えた必死で勝つ、なんてことになったら、ますます将棋が好きになるだろう。そんな、「これから頑張って初段を目指す」人達にはぜひとも薦めたい本である。
この一冊だけで、少し創元社を見直した(笑)。

作成日:2003.08.25 
終盤・寄せ

勝てる将棋格言36

勝てる将棋格言36: プロの実戦に学ぶ妙手 (将棋必勝シリーズ)
著者 :青野 照市
出版社:創元社
出版日:2003-08-01
価格 :¥1,000(2024/09/01 14:20時点)
r1(評価:級位者)
r2(評価:初段~三段)
r3(評価:四段以上)

格言というものには、先人の知恵と経験が詰まっている。
そのため、将棋においても、格言というものは「指針」になりうる。
本書は、そんな「役に立つ」格言を集め、解説している本である。

良く言うと(爆)

 悪く言ってしまうと、

くそ(笑)

 なんというか、本当の意味で実戦的な格言という感じがしないのである。そりゃあ「歩のない将棋は負け将棋」というのは形勢判断をする上で役に立つ格言かもしれないけど、そんな格言よりももっと役に立つ実戦的な格言はあるんじゃないだろうか?
非常に意地の悪い表現をしてしまうと、いかにもプロの「将棋を教えています」的なお仕着せ感というか教科書的な匂いがする。実戦ってそういうものじゃないよね。

もっとも、逆の見方もある。
最近、そういう「むかし言い古された格言」というのが、どれくらい今の若い人に知られているかを考えた時、また、将棋をはじめて間もない人達のことを考えた時、網羅的に(といっても36コだけど(笑))格言が載っているような本というのは必要かもしれない。

しかし、本書がその役に立てるかというと非常に疑問だ。

というのも、なんかやけに内容が高度なのだ。
初段くらいが対象かもしれない。少なくとも、将棋をはじめて間もない人たち向けの内容では断じてない。
教科書的かつ網羅的なカタログであるのなら、入門書としての本だなと判る。しかし、この本の内容では少し高度だと思う。

一度は目を通してみるのもいいかもしれないが、分厚いし、途中で挫折してしまうかもしれない。購入の前に、できれば中身をチェックしてみることをお勧めする。

作成日:2003.08.25 
全般

定跡なんかフッとばせ

定跡なんかフッとばせ: 駒落ち必勝法 (MYCOM将棋文庫 13)
著者 :湯川 博士
出版社:(株)マイナビ出版
出版日:2003-06-01
価格 :¥1,198(2024/08/31 17:15時点)
r1(評価:級位者)
r2(評価:初段~三段)
r3(評価:四段以上)

毎コミの復刻文庫シリーズの一編。
6枚落ち、4枚落ち、2枚落ちの解説をしている。分量的には、2枚落ちの解説に半分以上を割いている。

本のコンセプトとしては、「難しくてわけ判んない定跡を覚えるより、むしろ玉を固めてバンバン攻めてこうよ」といった実戦的なものになっている。そのため、2枚落ちでは2歩突っ切りの難しい定跡ではなく、銀多伝を中心に解説している。
個人的には定跡ヲタクなんで(笑)、こういう本は読んでいて楽しい。駒落ち版『定跡外伝』だと思えば間違いないだろう。
ただ、現在どれだけ駒落ちが指されているかということを考えると、本書の需要がどれだけあるのかどうかは疑問だと思う。昔であれば、プロに駒落ちで教わる、なんていう話はよく聞いたんだけれど、今はあまりそういう勉強法を取っている人も少なくなっただろうから。

将棋というゲームの面白さを考えたいのなら、本書はぜひとも読むべきだと思う。定跡書の功罪や実戦での心構えなど、平手戦でもためになる要素はいっぱいある。
そういう「よみもの」として捉えるべき本なのかもしれない。

作成日:2003.08.25 
駒落ち

東大将棋ブックス横歩取り道場 第7巻 3三角戦法

横歩取り道場 第6巻 (東大将棋ブックス)
著者 :所司 和晴
出版社:(株)マイナビ出版
出版日:2003-05-01
価格 :¥948(2024/09/01 05:09時点)
r1(評価:級位者)
r2(評価:初段~三段)
r3(評価:四段以上)

横歩取りシリーズ最終巻は3三角戦法。内藤9段の空中戦法でおなじみの戦形である。現在こそ8五飛戦法に押されてしまってはいるが、その存在が否定されたわけではない。

正直な感想を述べると、そんなに目新しさは感じなかった。
8五飛戦法の台頭のせいで、3三角戦法にもいくつか新しい指し方や手筋が生まれたとは思う。しかし、それこそ『羽生の頭脳』からどれくらい進化したんだということを考えると、その停滞具合が少し悲しい。プロは最新形しか研究しない、というのは、ある意味真実なのかもしれないなぁ。

巻末にはチャートもついていて、それだけでお得かもしれない。
横歩取りだからこれで済んだものの、四間飛車だったらどうなるんだ……? などと、つまらないことまで考えてしまった(笑)。

作成日:2003.08.25 
横歩取り

振り飛車ワールド 第4巻

振り飛車ワールド 第4巻
著者 :毎日コミュニケーションズ
出版社:(株)マイナビ出版
出版日:2003-07-01
価格 :¥620(2024/09/01 09:48時点)
r1(評価:級位者)
r2(評価:初段~三段)
r3(評価:四段以上)

もう4冊目か……と少し驚いてしまった。なかなかの刊行ペースだと思う。「矢倉ワールド」や「横歩取りワールド」を出したとしてそれくらい勢いが続くんかい、と考えると、やっぱり振り飛車というのはアマチュアの人気戦法なんだな。
今回はインタビューが鈴木大介と加瀬純一、指定局面が棒銀、千葉の講座は5七銀右急戦、その他のエッセイ、講座というラインナップ。

鈴木大介のインタビューはなかなか面白かった。創元社での定跡解説っぷりそのまんまの人である(笑)。いや、誉めてんのね、これ。これからも頑張ってほしいと思う。
棒銀の方はそんなにインパクトがなかった。これは本文にも書いてあったが、指定局面の設定自体がちょっとまずかったと思う。新手爆発、という感じではなかった。千葉の講座は相変わらずのクオリティで、安心して読める。バンカナたんは例によって写真が2枚(笑)。

今後、どういう方向に進むのか(例えば10巻くらい出たとして、なんかその先が続かなそう……)気になるが、そんな先のことは置いといて、十分に楽しめると思う。
正直、本にするような話かなぁ……と、いい意味でも悪い意味でも思うんだけど。

作成日:2003.08.25 
振り飛車全般
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