必至のかけ方 寄せのコツを体得する
必死といえば金子タカシ、という風に、白砂のような昔の人は(つったってまだ33なんだがなぁ……)ほぼ条件反射的に出て来てしまうので(笑)、逆に他の人の必死本だと少し胡散臭げな目で見てしまう。「ちゃんと書いてんのかぁ?」って(<をい)。
でも、本書はお勧め。金子タカシの必死本より、かなり易しい問題が揃っている。
級位者であれば、金子タカシよりはまず本書を読むことをお勧めする。形式的には必死の解説と問題がいっぱいという同じものなのだが、題材が1・3・5手の必死に絞られているので、無理なく考えられる。多分、級位者では3手の必死を考えるのも大変だろうから。
必死問題の3手と詰め将棋の3手は全然違って、詰め将棋は3手でちゃんと終わるから、読みの「深さ」は3手でいい。しかし、必死問題は3手で必死をかけた後に実際に詰ますまでが5手とか7手、場合によっては10数手とかになってしまうので、実際の読みの深さはかなりなものになる。
これを級位者が読むというのは大変なことだ。それがちゃんと読めるのなら初段と認めてもいいかもしれない。
本書の問題は、意図的かどうかは判らないが、必死がかかったあとの詰み筋があまり長く難しくない。なので、そんなに深く読まなくても、必死の「形」が解ける楽しみとともに習得できる。
これは、問題を作った人(多分勝浦じゃないよね……)の勝利だと思う。
本書で覚えた必死で勝つ、なんてことになったら、ますます将棋が好きになるだろう。そんな、「これから頑張って初段を目指す」人達にはぜひとも薦めたい本である。
この一冊だけで、少し創元社を見直した(笑)。