最強四間飛車マニュアル 急戦編

最強四間飛車マニュアル 急戦編
著者 :久保 利明
出版社:マイナビ出版(日本将棋連盟)
出版日:2002-12-01
価格 :¥600(2024/09/01 02:46時点)
r1(評価:級位者)
r2(評価:初段~三段)
r3(評価:四段以上)

タイトル戦にも登場したことがある久保の振り飛車定跡書。
内容を急戦に絞り、先手後手それぞれの振り飛車について解説している。棒銀については別に項を設けて詳しく解説している。他の本でも棒銀についてだけやけに詳しく書いていたが、何か理由でもあるのだろうか? ひょっとして加藤一二三がきら(略。

内容はそれなりに高度だが、有段者であれば知っている変化が多い。2段とか3段の人が、改めて知識を確認するにはいい本だと思う。初段くらいまでの人は形を覚えることに重点を置いた方がいいだろう。
図面と解説が多い東大将棋本のようで、読めるのではあるか何故か見づらい。細かいことを言うとインクの濃さとか、そういうものまで気になってしまう(笑)。もっともこれは個人的なことなので、人によっては単なる言いがかりにしか聞こえないかもしれない。実際に手にとって確認してみて欲しい。
どーーーーしても本書でないといけない、という変化はないと思うので、読みにくかったらそんなに無理して読む必要はないと思う。

作成日:2003.02.19 
四間飛車

伝説シリーズ5 真・石田伝説

真・石田伝説: 石田流の秘法を伝授 (MYCOM将棋文庫 5)
著者 :毎日コミュニケーションズ
出版社:(株)マイナビ出版
出版日:2003-02-01
価格 :¥291(2024/09/01 09:49時点)
r1(評価:級位者)
r2(評価:初段~三段)
r3(評価:四段以上)

アマチュアの花形戦法と言えば棒銀・中飛車・石田流だが、時の名人挑戦者升田幸三実力制第4代名人は独自の改良を加え、なんと石田流を名人戦で指した。大山-升田時代のことなど知るはずのない私は当時の熱狂ぶりを直に感じているわけではないが、それでもその熱気だけは想像できる。
現在でも愛好家の多い升田式石田流だが、しかしその定跡書となると数えるほどしかなかった。だからこそ愛好家達が跳梁跋扈(<妖怪かい)することにもなったのだが(笑)、その石田流に焦点を当てたのが本書である。

本書はこの他にも、立石流や楠本流(対居飛車穴熊石田流)の解説もしてある。
いずれもその戦法の基本コンセプトにかなりの紙数を費やすなど工夫の跡が見えるが、石田流や立石流を指す人間から言わせてもらうと少し変化の底が浅い気がした。
1つの戦法について解説した1~4章よりも、いろいろな石田流の「形」を解説した5章の方が読んでいてためになったのもそのせいかもしれない。
取っ掛かりとしてはいい本だと思うが、自分で磨きをかけないと指しこなすのは大変だろう。もっとも、どの戦形でもそれは言えることなのだが。

作成日:2003.02.14 
三間飛車

ザ・必死 これが終盤の定跡だ

ザ・必死: これが終盤の定跡だ (MYCOM将棋文庫 4)
著者 :金子 タカシ
出版社:(株)マイナビ出版
出版日:2003-01-01
価格 :¥526(2024/09/01 17:29時点)
r1(評価:級位者)
r2(評価:初段~三段)
r3(評価:四段以上)

まさに「幻の名著」とも言える本書。さまざまな必死の形をパターン分類し、次の一手形式で紹介している。
簡単な1手必死から9手以上の長い手順の必死までと、初級者から有段者まで幅広く読めるだろう。

現在でこそ「寄せの本」も多くなったが、当時は類書は多くなかった。また、問題のクオリティの高さは当時から有名だった。とはいえ白砂が実際に本書を手にしたのは販売後かなり経ってからなのだが。

あまり解説が多くないので、手順を見て「なるほど」と思える棋力でなければ読み進めるのは少し辛いかもしれない。有段者は力試しのつもりでぜひとも取り組んでほしい。意外と実戦では寄せを逃しているかもしれない(笑)。

作成日:2003.01.01 
終盤・寄せ

島ノート 振り飛車編

島ノート 振り飛車編
著者 :島 朗
出版社:講談社
出版日:2002-12-01
価格 :¥191(2024/08/31 15:51時点)
r1(評価:級位者)
r2(評価:初段~三段)
r3(評価:四段以上)

振り飛車vs居飛車についての研究書
定跡書、というと特定の形を指す感じがするので、ここではあえて研究書という表現を使いたい。それくらい、王道としての定跡だけでなく、ちょっと変わった戦法など膨大な考察が書かれている。

まず素直に驚いた。
これだけの研究を、アマチュアのために惜しげもなく公開してくれたヅラ……じゃなかった著者には敬意を表したい。ホントにすごい。
いくつか既出の手もないわけではないが(たとえば石田流封じに対抗する343戦法。学生のころ、すでに白砂が会報に発表しているくらいメジャーだった)、それを上回るだけの新戦法、新研究がたくさんある。

「基本」と「発展」のふたつにページを分けているのも好感が持てる。
だいたいこういう奇襲の本では、本書の「基本」に書かれている「うまくいった部分」だけを取り上げておしまい、という感じになる。本書はさらに「発展」の項を設けて、細かい枝分かれの変化、その先の実戦解説など、有段者でも満足できるようにきちんとフォローをしている。ここまで懇切丁寧に解説してもらえれば、その手順にも説得力が出ようというものだ。

手紙で質問をできる、などという新機能(昔、別の本であったらしいが)も話題だが、そんなことよりなによりこの研究量である。本書の魅力はそれに尽きる。
初心者から有段者県代表クラスまで、というヒキ文句は「下限」に関してはちょっと怪しいが、上が県代表クラスというのは間違いない。自分が有段者だと思ったら即買いだし、後々の棋力向上のことを考えても、5級くらいまでの人なら持っていて損はないだろう。それより下の人は、申し訳ないがもっと他にやることがあるはずだ。
「渾身の、一冊です」と著者が語るとおり、まさに毛根を削って……あ、いやいや、とにかく渾身の一冊だろう。

1,800円という値段は決して安くないが、内容を考えれば決して高くはない。できることなら皆さんも買ってほしい。売上がよければ、今後のシリーズ化も夢ではないと思うから。

作成日:2002.11.29 
振り飛車全般

藤井システム

藤井システム: 升田幸三賞受賞戦法 (MYCOM将棋文庫 1)
著者 :藤井 猛
出版社:(株)マイナビ出版
出版日:2002-11-01
価格 :¥450(2024/09/01 09:46時点)
r1(評価:級位者)
r2(評価:初段~三段)
r3(評価:四段以上)

最近、毎コミが絶版本の復刻に乗り出した。そのうちの一つである。
かつて振り飛車退治の決定版として猛威を振るった左美濃。その左美濃を完膚なきまでに打ち崩したのが、この藤井システムだった。
藤井システムといえば今では居飛車穴熊対策として知られているが、かつては左美濃対策として出てきたものである。あまりの破壊力に左美濃が絶滅してしまったため、現在では「左美濃対策」という言葉が冠されることはない。逆に言うと、それくらい凄いシステムなのである。藤井システムというものは。

本書は、その藤井システムvs左美濃について、詳細に解説したものである。
現在では左美濃側の対策も進んだために完璧に叩きのめすというわけにはいかないようだが、それでも、ベースとなっているこの藤井システムを知らなければ話にならない。ブームが過ぎてしまった今だからこそ、左美濃はアマチュアにとって盲点の戦法であり、また、振り飛車党はしっかりと押さえていなければならないポイントである。
東大将棋シリーズなどと違い、豊富な変化を解説していながらも混迷感はない。また、「システム」という名の通り指し手が体系化されているため、「あ、ここはさっきも出た変化だ」という感じで連携して理解することができる。定跡を作った著者本人も凄いが、それをまとめた編集者もうまいと思った。本自体がしっかりと作り込まれている感じがする。

文庫になって少し読みづらくはなったが、初段もあればラクに本書を読むことができるだろう。3段もあれば盤駒はなくてもいいと思う。
有段者は常識の変化と思うべきだ。旧式の変化で潰されたのでは情けない。

作成日:2002.11.12 
四間飛車
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