相振り飛車の定跡 相手の戦法別に勝ち方を指南!

相振り飛車の定跡: 相手の戦法別に勝ち方を指南! (将棋必勝シリーズ)
著者 :鈴木 大介
出版社:創元社
出版日:2002-09-01
価格 :¥100(2024/08/31 17:55時点)
r1(評価:級位者)
r2(評価:初段~三段)
r3(評価:四段以上)

先手の立場に立って相振り飛車の指し方を解説する本。
こう書いてしまうと「後手の立場は?」と、なんだか身もフタもない感じになってしまうが仕方がない。事実である(笑)。

後手が中飛車の時は三間飛車で、それ以外は向かい飛車にするのがいい、というのが著者の主張で、それに沿って解説が進んでいく。
相も変わらず鈴木流の解説方法は健在で、変化の底はほとんどない(爆)。一応、オリジナルという部分もないとは言わないが、読んだすぐ後でも「あれ、どこだっけ?」と思ってしまうくらいで、ようするに従来の定跡書と変わりない。

……と、鈴木大介に冷たすぎないか? という言葉が続くが、逆に考えると従来の定跡書では難しすぎるという級位者にはもってこいの入門書になりうる
本書を読んだだけで勝ち続けられる、などととは口が裂けても言えないが、本書が理解できれば毎局が楽しくしかもそこそこ勝てるだろうことだけは約束する。

難しい相振り飛車の「形」だけをうまく抜き出した、意外といい本だ。

作成日:2002.09.10 
相振り飛車

高田流新戦略3手目7八金

高田流新戦略3手目7八金
著者 :高田 尚平
出版社:(株)マイナビ出版
出版日:2002-08-01
価格 :¥130(2024/08/31 22:07時点)
r1(評価:級位者)
r2(評価:初段~三段)
r3(評価:四段以上)

題名に「新戦略」とあるが、その名のとおり定跡というよりは戦略について書かれている本である。
話としては、▲7六歩△8四歩に▲7八金とする形について解説し、次に、ここから△3四歩、△8五歩、△3二金の3種類の指し手について、それぞれの対応策を述べている。ちなみにその3種類以外の指し手では先手が指しやすくなるというのが著者の主張だ。
この指し方の基本は「角換わり、矢倉などで少しでも得な形を目指す」ものである。「定跡」ではなく「戦略」だというゆえんがここにある。よって、まず角換わりだとか矢倉の定跡を知っていることが前提となる。
であるから、本書を読むためにはそれらの知識は必須。初段くらいでは本書は価値がわからないと思う。既存の形より少しでも得をしようという、実にプロ好みの「戦略」なのだ。

白砂の場合、▲7六歩△8四歩スタートには必ず▲7八金とするので、ある程度参考にはなった。もっとも△3四歩の場合には本書とは違って▲2二角成△同銀▲7七桂とするのだが(笑)。
そういう事情があるので、出版されると同時にすぐ買った。
一番役に立ったなぁ……と思ったのが中飛車にする変化で、こういう力戦形はただてさえ定跡書が少ないので参考になる。特に本書では穴熊の変化を含めいろんな指し方を紹介しているので、自分なりに消化するのに都合がいい。

戦略であるがゆえに、「こっから先は○○の形になります。ただし少し得です」というのが多いので、人によっては中途半端と思うかもしれない。個人的には、本書は道案内であって地図ではないと思っているので、どこになにがありますよと教えてくれるだけでも十分参考になった。
居飛車党なら手にとってもいいと思う。
ただし、既存の定跡書は必須。高段者向けの本だろう。

作成日:2002.08.27 
その他の居飛車

ごきげん中飛車を指しこなす本

ごきげん中飛車を指しこなす本 (最強将棋塾)
著者 :近藤 正和
出版社:河出書房新社
出版日:2002-07-01
価格 :¥205(2024/08/31 22:33時点)
r1(評価:級位者)
r2(評価:初段~三段)
r3(評価:四段以上)

河出書房新社の『指しこなす本』シリーズ。今度はゴキゲン中飛車である。

例によって次の一手形式で解説が進んでいく。ゴキゲン中飛車の場合は詰みまで一直線に進んでしまうケースもあるので、図面が多いというのはありがたいと思った。実際はまだ結論が出ていないところを「先手よし」としてしまったりとちょっと粗い部分も見受けられたが、多少は仕方のないところだろう。
というか、本書が出てからかなりゴキゲン中飛車の変化は掘り下げられている。有名なところでは第43期王位戦第1局、谷川が1000勝を達成した将棋がある。▲5八金右から▲2四歩という典型的な戦いだが、これが指されたのは7月12日。当然、本書には間に合わない(笑)。
まぁ、こういうことを言っていては本は出せないので、これはもう笑ってしまうしかないだろう。あと2ヶ月出版が遅かったらどういう構成になったか、興味深いところではあるが。

急戦の場合、持久戦の場合、ともによく書かれている。すべてを理解するのは大変だが、だいたいの流れはつかめるだろう。『ゴキゲン中飛車戦法』よりは格段に役に立つと思う。
ゴキゲン中飛車を指す人も指されて困る人も必須。ただし、別の情報でしっかりとフォローすることは忘れずに、というところだろうか。

作成日:2002.07.30 
中飛車

振り飛車奇襲戦法 2

振り飛車奇襲戦法 2 (将棋必勝シリーズ)
著者 :小林 健二
出版社:創元社
出版日:2002-07-01
価格 :¥844(2024/08/31 16:01時点)
r1(評価:級位者)
r2(評価:初段~三段)
r3(評価:四段以上)

内容としては、坂田流、袖飛車穴熊、相振り飛車での代表的なうっかり手筋を扱っている。ただし、創元社であり、かつ著者が小林健二である。多くを期待しない方がいい(<をい)。実際、『消えた戦法の謎』『奇襲大全』の域を出ていない。
ただ、考えてみると、『消えた戦法の謎』も『奇襲大全』も絶版である(『奇襲大全』は平成版が出たけど、はたして手に入るものかどうか……)。それを考えると、本書の存在意義も出てくるかもしれない。

この欄では正直がモットーなので言ってしまうと、白砂は本書を図書館で借りたのだが、それで十分だと思った。それくらい底が浅い。もちろん、白砂が上記2冊の本を読んでいたから……というのが前提としてあるのだが、それにしてもちょっと。もう少しオリジナリティーを出してもいいと思う。
高段者にとっては常識的な話だろうから、一度目を通せばいいと思われる。逆に、阪田流? なに? という人だったら買い。袖飛車穴熊も指してみるとそこそこ面白いし、見てみても損はない。

作成日:2002.07.20 
奇襲・変態戦法

居飛車奇襲戦法

居飛車奇襲戦法 (将棋必勝シリーズ)
著者 :井上 慶太
出版社:創元社
出版日:2002-07-01
価格 :¥800(2024/09/01 00:25時点)
r1(評価:級位者)
r2(評価:初段~三段)
r3(評価:四段以上)

奇襲、というよりはなんだか『定跡外伝』に近い内容で、有段者からすると有名な指し方が多い。それでも、初めて見る人にとってはなかなか面白い手順だと思う。

個人的な話になるが、本書で紹介されている偽装棒銀(2六飛の形から銀が出て行く戦法)については、少し形は違うが後輩の塚本と少し研究したことがある。なかなかに優秀な戦法だと思われるが、実際に指すのは「勇気」がいるのではないだろうか。
また、先手▲6五角戦法は有名なハメ手で、端歩を突いていることにより横歩取り△4五角戦法をより強力にできるというものである。ただ、これは大元の横歩取りの変化を知らないと飛び込めないので、初段くらいではおそらく指しこなせないだろう。

創元社らしい「変化をなるべく書かない」装丁の中、うまく工夫していると思う。同社の本の中では、どちらかというと上のレベル向けに書かれた本である。

作成日:2002.07.20 
奇襲・変態戦法
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