定跡外伝2

定跡外伝 2
著者 :週刊将棋
出版社:(株)マイナビ出版
出版日:2002-07-01
価格 :¥52(2024/08/31 23:37時点)
r1(評価:級位者)
r2(評価:初段~三段)
r3(評価:四段以上)

出版当時は大変な反響を巻き起こした『定跡外伝』の続編。と同時に、今まで毎コミが出版した棋書のフォローにもなっているというのがおもしろい。ようするに、定跡とちょっと違う局面、意外と触れられていない裏定跡を紹介する本である。

私自身は定跡ヲタなところもあるのでこういう本は読んでいて楽しいのだが、でははたしてどれだけの需要があるかと客観的な視点で見ると疑問ではある。
見開き単位で一つの局面、というかなり制約されたレイアウトの中で解説をしているので、棋譜がかなり長々と載る。それを追っていける、もしくは盤駒を出して並べて鑑賞できるレベルの人向けの本である。これは需要はそう多くないよね。

前作は居飛車対振り飛車のみだったが、今回は矢倉や横歩取りなども取り上げられている。その分、よりお得感が強まった気がする。脇システムや8五飛戦法外しなどは、まさに定跡「外伝」という感じで非常にいい。

その定跡を知っている、ということが前提になるので100%有段者向けなのだが、たとえわからなくても級位者にも一度は読んでみてほしい。将棋のおもしろさ、奥深さがよくわかる良書である。

作成日:2002.07.19 
全般

将棋名人戦 第60期

第60期将棋名人戦―名人丸山忠久・挑戦者森内俊之
著者 :毎日新聞社
出版社:毎日新聞出版
出版日:2002-07-01
価格 :¥2,819(2024/08/31 20:33時点)
r1(評価:級位者)
r2(評価:初段~三段)
r3(評価:四段以上)

なんか「小物同士の対決」っぽかった名人戦の(ファンの人ごめん)観戦記を集めたもの。特別に編まれたものではなく、新聞に載ったのをただ集めただけ(に見えるんだけど……違うのかな?)という構成は、個人的にはあまり好きになれない。観戦記時点では結論が出なかった形に新型が出るとか、いろいろ観戦記-出版までには間があるわけで、その間をまったく埋めない手抜きの構成はどうかと思う。
まぁ、竜王戦なんかもこの形式は踏襲しているようだが、むちゃくちゃ言っちゃえば、新聞に載っていてタダで読めていたものをかき集めただけで1,800円というのは詐欺だろー(笑)、とまで思ってしまうのだ。

将棋自体は、そこそこに面白かったと思う。
全体的に(第3局の大トン死を含めて)丸山名人に読み抜けが多かったような気がするが、当時随分と不調説が囁かれていたし仕方がないのかもしれない。それよりも包み込むような全体を細やかに読んでいる森内新名人を誉めるべきだろう。
ある程度定跡の最先端を行っていた部分はあるので、有段者はそこら辺を追いかけるのが楽しみになるかもしれない。図面は全体的に少ないので、できれば盤駒を出して並べていただきたい。

作成日:2002.07.15 
実戦譜集

東大将棋ブックス横歩取り道場 第1巻 8五飛阻止

横歩取り道場 第1巻 (東大将棋ブックス)
著者 :所司 和晴
出版社:(株)マイナビ出版
出版日:2002-07-01
価格 :¥100(2024/09/01 05:09時点)
r1(評価:級位者)
r2(評価:初段~三段)
r3(評価:四段以上)

東大将棋シリーズがついに横歩取りに手を出した。
矢倉に変わって激増している8五飛戦法の解説である。いきなり「阻止」から解説するのもどうかと思うが(笑)、それだけ8五飛対策が進んでいるので仕方がないだろう。「有史以前」の話は別の本で補えという東大将棋シリーズらしい割り切りかたである。

主に解説しているのは山﨑流と呼ばれる変化で、角交換をすることにより△8五飛という形そのものを拒否している。で、△8四飛とするわけだが、そこからさらに先の変化を詳しく解説している。▲2三歩と叩く例の変化が主流だ。
……こう言って「あぁ、あれ」と言えない人は読むな、というくらい非常に高度な(というか煩雑な)内容なので、知っている人向けのまとめの本と思うべきだろう。間違っても級位者は手を出してはいけない。『8五飛を指してみる本』あたりからはじめるといいだろう。

作成日:2002.07.12 
横歩取り

新・対局日誌 第6集 大山伝説

新・対局日誌 第6集
著者 :河口 俊彦
出版社:河出書房新社
出版日:2002-06-01
価格 :¥817(2024/08/31 20:17時点)
r1(評価:級位者)
r2(評価:初段~三段)
r3(評価:四段以上)

『将棋世界』に連載されている「新・対局日誌」を1年間分まとめたものを出版するシリーズ。6冊目は大山名人がガンに倒れ、しかし復帰してプレーオフにまで進んでしまったという凄い年のものだ。サブタイトルの「大山伝説」はまさに伝説としか言いようがないだろう。おそらく、もうこんな棋士は出ないんじゃないのかなぁ。
A級順位戦最終戦、対谷川戦の▲6七金は永久に語り継がれる妙手だろう。プレーオフの対高橋戦もよかった。惜しくも負けてしまった将棋で、著者は「もう休め、の神様の配慮だったのかもしれない」と言っているが、大山はそんなこと思わなかったろうなー。少なくとも、もしそうなんだとしたら将棋の神様を恨んだだろう。そういう人だよねきっと(笑)。

ちなみに、この高橋-大山戦。『月下の棋士』で、主人公氷室将介vs大原名人(もう明らかに大山がモデルだぁね)の激戦として使用された。マンガ自体は荒唐無稽なものなのだが(笑)、おおげさではあるけど棋士の魅力を引き出した名シーンだと思う。機会があったら一度読んでみてほしい。
一度でいいけど(爆)。

作成日:2002.06.30 
読みもの

東大将棋ブックス四間飛車道場 第5巻 棒銀

四間飛車道場 第5巻 (東大将棋ブックス)
著者 :所司 和晴
出版社:(株)マイナビ出版
出版日:2002-06-01
価格 :¥1,320(2024/09/01 09:46時点)
r1(評価:級位者)
r2(評価:初段~三段)
r3(評価:四段以上)

説明の必要もない、棒銀対四間飛車の本である。

基本図は△4三金と上がって受ける形で、そこからの居飛車の攻め、振り飛車の反撃について詳しく述べている。特に△4四歩の反撃は『新スーパー四間飛車Ⅰ』など数冊しか書かれていないので振り飛車党、棒銀党ともに必読である。

捌いたり押さえ込んだりといろいろ忙しい棒銀戦法だが、指しこなすにはこれくらいの知識は必要だということだろう。加藤先生は偉大だ(爆)。
棒銀は有段者以外も指す戦法だが、最低でも3段くらいないと本書は読めないと思う。

作成日:2002.06.12 
四間飛車
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