右四間飛車戦法 四間飛車破りの決定版!

右四間飛車戦法 (スーパー将棋講座)
著者 :先崎 学
出版社:創元社
出版日:2007-04-01
価格 :¥150(2024/08/31 23:44時点)
r1(評価:級位者)
r2(評価:初段~三段)
r3(評価:四段以上)

アマチュアに人気の右四間飛車を解説した本。先手右四間vs後手四間飛車の、居飛車vs振り飛車に特化した解説となっている。振り飛車が先手だとか、矢倉vs右四間の相居飛車というのももちろんあるが、それらはスッパリ切り捨てている。単純な戦法ではあるが変化の解説が多いに越したことはないので、この見切りは正解だと思う。
内容は、居飛車の玉型を3種類に分けている。

  • 舟囲い……△2四角~△3一金という秘策があって急戦は不発。
  • 米長玉……8七銀・7八金・6八金という綺麗な囲いからの攻め。▲3五歩△同歩▲3八飛という攻め筋が中心。
  • 居飛車穴熊……今度は穴熊に囲ってから攻める。米長玉同様、3筋から攻める手が中心。

急戦は振り飛車のうまい受けがあって不発、という解説を最初に持ってきたのがうまい構成で、解説の「公平感」をうまく出せていると思う。いやいやそんなあざとい読み方をしなくてもという気もするが、まぁこれはテクニックの一つということで(笑)。実際、右四間側が攻略できる変化も数多く紹介しているから、その点は評価できる。

実はどれも△5四銀型なのでそもそも振り飛車側の受けが限られるとか、穴熊の△6五銀はいろんなタイミングがあるんじゃないのかとか、ツッコミを入れればキリがないだろうが、創元社の初級者向け解説本であることを考えるなら本書くらいの構成でいいと思う。難しい話は上に行ってからで十分で、初級者はまずは攻めの「形」を覚える方が先である。
ただ、香が5枚あったのはいただけなかったかな……(笑)←ただの誤植。振り飛車が△9五香と走ったのに9一の香を消し忘れていた。

内容はとても判りやすく、変化の解説も十分にされている。攻め筋の紹介もたくさんあったし、初級者が初めに取る一冊としては良書だと思う。

作成日:2014.12.30 
四間飛車

中井広恵の駒の自然な使い方

中井広恵の駒の自然な使い方 (NHK将棋シリーズ)
著者 :中井 広恵
出版社:NHK出版
出版日:2007-11-01
価格 :¥169(2024/09/01 14:19時点)
r1(評価:級位者)
r2(評価:初段~三段)
r3(評価:四段以上)

NHK将棋講座をまとめたもの。
タイトルの「自然な」というのは、いい手、くらいの意味と思っていただければ間違いないだろう。

一応、序盤、中盤、終盤とすべて解説してはいるのだが、終盤では自然というのが一切出て来ない。終盤は、自然かどうかというよりは純粋に読みの世界になってしまうから仕方のないことだとは思うのだが、だったら最初っから序盤のみの解説に特化した方が「自然」を全面に出せてよかったと思う。半年間の講座であるために間が保たないとか、いろいろ事情があるであろうことは重々承知の上で、でももったいなかったと指摘したい。
それと、どうでもいい話なのだが、本書の図面番号はすべて通し番号になっている。最後の図面は314図(!)である。こういう番号の振り方は初めて見た(笑)。なんでこういう風にしたんだろう。

作成日:2014.12.27 
入門

第一線棋士! B級に落ちても輝け中年の星

第一線棋士!: B級に落ちても輝け中年の星
著者 :青野 照市
出版社:清流出版
出版日:2004-08-01
価格 :¥649(2024/09/01 14:20時点)
r1(評価:級位者)
r2(評価:初段~三段)
r3(評価:四段以上)

青野2ch名人がいろんなところで書いたエッセイをまとめたもの。

将棋と違う世界の話を将棋にからませつつ、うまく話を転がしていくので、将棋を知っている人にとってはとても読みやすいエッセイになっている。また、昔の将棋界の話なども、実体験として非常にリアルに書かれていて(塾生の頃の話とか)、逆に将棋を知らない人が読んでも面白いのかもしれない。さすがにもう「将棋を知らない人」の気持ちは判らないので断言はできないが。

青野先生の人柄を反映しているかのような読みやすい文章と、選材のうまさで、あっという間に読めてしまう。まぁ、選材について言えば、「ドーハの悲劇」なんて言うのは勝負を知らない人の言葉で、知っている者にしてみれば必然の結果、とか、大丈夫なのかと思うものもないわけではなかったが、基本的にはのんびり面白く読めると思う。個人的には、盤駒の話が面白かった。

かなり前(2014年現在から見て10年以上前)に書かれたものではあるのだが、普遍的な内容が多いので、今の将棋ファンにも、というか今の将棋ファンにこそ読んでほしい一冊といえるだろう。

作成日:2014.12.27 
読みもの

よくわかる矢倉戦法

よくわかる矢倉戦法 復刻版
著者 :関根 茂
出版社:東京書店
出版日:2002-10-01
価格 :¥1,650(2024/08/31 16:10時点)
r1(評価:級位者)
r2(評価:初段~三段)
r3(評価:四段以上)

『将棋は歩から』の東京書店の本。
矢倉を解説しているのだが、なにしろ復刻版なので内容はかなり古い。3七銀戦法を最新と言っているくらい古い。なので、はっきり言ってしまえば棋書マニア以外には意味のない本だと思う。
4七銀・3七桂の形などを見て懐かしい気分に浸りたい人にはいいのかもしれない(笑)。

作成日:2014.12.27 
矢倉

一二三の玉手箱

一二三の玉手箱
著者 :加藤 一二三
出版社:(株)マイナビ出版
出版日:2007-02-01
価格 :¥60(2024/09/01 14:20時点)
r1(評価:級位者)
r2(評価:初段~三段)
r3(評価:四段以上)

いや、まぁ、なんというか……加藤一二三の本。

内容は大きく3つあって、一つはNECビッグローブで配信していた「加藤一二三伝説」の抜粋。滝を止めるとか食事はいつも鰻だとか、そういう話を集めたもの。特筆すべきは本人のインタビューが載っている点で、本人の言い訳(笑)が聞ける。
二つ目は自戦記。これは将棋世界で連載されていたものだと思う。間に挟まれる宗教についての話などに見覚えがある。
最後はエッセイ。宗教や音楽、将棋などについて書かれている。

全編これ加藤一二三で、ひふみんヲタの人は絶対に買い。将棋界に興味がある人は、こういう棋界随一の名キャラクターを知っておくべきだと思うので読んでおいて損はないと思う。そうでない人は……時間があれば(笑)。
最近、棋士がちょっと笑いのネタになっているきらいがある気がする。しかし、本書を読めば、本人達はいたって真剣であるという、本当に本当に当たり前の事実がよく判るだろう。将棋も知らずに「ひふみん」などと言って笑い飛ばしているだけの人達にこそ、本当は読んで反省して欲しいと思う。

作成日:2014.08.04 
読みもの
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