将棋コラム
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敵の打ちたいところへ…… |
Date: 2004-11-06 (Sat) |
第1図は朝日オープンの屋敷−小牧アマ戦。後手番一手損角換わりの終盤である。
少し苦しい後手が△6九銀と引っ掛けたところだが、さてどうするか。
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3一玉型に目をつけると▲3四桂という手が浮かぶ。
▲2二金と▲4二金の両狙いだが、△3二金と引くのは▲4三歩△同金▲4二歩くらいでも受けが難しい。意外と受けづらいのだ。
しかし、▲3四桂は△7八銀成▲同玉△4三金打(第2図)と埋めながら受けるのがうまく、先手が悪くないだろうが決め技に欠く。ここはスッキリと攻め切りたいところだ。
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▲4三歩(第3図)と打つのがうまい攻めになる。
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ぬるい攻め、例えば△5八銀不成などでは▲4二金△2二玉▲3四歩(第4図)が詰めろなので先手勝ち。△7八銀成▲同玉△8九銀▲同玉△7七飛成も、その瞬間に▲4二金△2二玉▲3三飛成で先手勝ち。やはり4三歩という拠点は大きい。
この▲4三歩は攻めだけの手ではない。4三に先着することによって、△7八銀成▲同玉△4三金打という受けを消している。攻防の一着なのだ。
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実戦では後手は△3四歩と「泣きの辛抱」で耐えた。
この歩は▲3四桂という絶好の桂跳ねで取られてしまうからだ。ただでさえ跳ねさせたくない桂なのに、なにが悲しくて1歩計上しなくてはならないのか。まさに泣きの辛抱である。
もっとも、今すぐに喜んで▲3四同桂と跳ねると△4三金(第5図)と体をかわされて「あっ」ということになる。第5図から▲6五飛△6四銀という展開は、優勢ではあるものの望んだ展開ではないだろう。
先手の屋敷9段はそこのところをしっかりと読み切り、▲4二金△2二玉▲3四桂△1二玉▲6八金右(第6図)と進めた。
一発▲4二金を利かせてから▲3四桂と取ることにより、△4三金を消している。また、▲3四桂に△同金は▲同飛で歩切れのため△3三歩と受ける歩がない。
後手は仕方なく△1二玉とかわしたが、ここまで形を決めてから▲6八金右と手を戻すのが当然ながら絶妙のタイミングだった。自玉を安全にすると同時に、「寄せるための駒をちょうだい」と言っているわけだ。
それが判っていても後手は△7八銀成▲同金△6九銀とするしかないのだが、もう一度じっくり▲6八金(第7図)と受ける。これで後手の攻めは頓挫した格好だ。
第1図から第7図まで、後手の側から変化する余地はほとんどない。実に素早い追い込みである。
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○ ○ ○
ちなみに、第1図では▲4三金(第8図)という手もあったと思う。
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次に▲3三金△同桂▲同飛成があるから△3四歩の一手だが、▲3三金△同桂▲3四桂△3二金(△3二玉は▲6五飛△6四銀▲4二金△2一玉▲4四角△6五銀▲3三角成(第9図)で先手勝ち)▲4三歩△同金▲4二歩(第10図)と攻める。
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第10図で△2一銀のような受けは、例によって▲6八金右(第11図)という手がある。
第11図は銀があれば▲3二歩△同玉▲4一銀以下詰む形なので、銀をくれと言われると後手はどうしようもないのだ。△7八銀成▲同金△3四金▲同飛△4三金と粘るくらいだが、▲4四飛(第12図)が強手。△同金▲同角となった形は先手勝勢である。
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そこで第10図からは△7八銀成▲同玉△3二金▲4一銀△3四金▲同飛(第13図)と粘る。
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第13図で後手玉は詰まない。
しかし、次に▲4三金とされるとほぼ必死で、しかも先手玉にうまい詰めろが掛からない。△8五桂は詰めろではないし、△8九銀▲同玉△7七飛成は▲3二銀成△同玉▲4一銀(第14図)で後手玉が詰んでしまう。△4二金と受けても▲4三金で無効。というわけで、第13図は典型的な先手の一手勝ちである。
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なにもこんな難しい変化に飛び込まなくても、▲4三歩で十分じゃないかと思われるかもしれない。
例えば、第10図で先に△3四金と桂を取り、▲同飛に△7八銀成▲同玉△4三金(第15図)とする。これは第12図と似た形で、▲4四飛の強手を放つと△同金▲同角で先手勝ち……と思っていると、△6六桂(第16図)という必殺手を喰らって大逆転である。
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▲同角は△同歩▲4三金に△7七飛成▲同玉△8五桂▲6六玉△8八角▲5七玉△4五桂(第17図)で即詰み。▲同歩は△8九銀▲同玉△7七飛成(第18図)で、先手玉は必死で後手玉は詰まない。
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正解は第15図でいったん▲4一銀と詰めろをかけておく手で、△3二歩と受けさせてから▲4四飛とすれば、今度は同様に進んだ時3二がふさがっているため▲2二金以下後手玉が詰む。タネが知れてしまえばどうということはない話ではあるが、△6六桂というような手を読みの中に含めるのは大変なことだ。
そんな面倒なことを何故わざわざ言うかといえば、この将棋について、白砂はある疑問を持っているからである。
どういうことかは、長くなるので項を分けて説明することにしよう(といっても、もう既に十分長いな(笑))。
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