将棋コラム


  脇スペシャル(?)炸裂 Date: 2002-04-01 (Mon) 
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 脇謙二8段の将棋から。
 矢倉の「脇システム」は彼の得意戦法である。研究するとやや脇システム不利なそうなのだが(笑)、名前が戦法につくというのは棋士としての質が高いということだと思う。本譜はもう1つの脇の得意戦法である横歩取り3三桂戦法だ。
 図は脇の△6二玉に対して▲1五歩と仕掛けたところ。従来の定跡では▲1五歩△2三金▲3六飛△8四飛▲1四歩で先手よし。▲1五歩に△同歩では以下歩を連打して技がかかるし、△8四飛で△1五歩と手を戻すと▲2四歩があるのでこの変化は必然。相手棋士(深浦)も安心して仕掛けたことだろう。
 ところが、これが脇の研究範囲だった。

△同歩▲1二歩△同香▲1三歩△同角▲1五香△8八飛成▲同銀△1六角(2図)▲3三飛成△5七角成▲同玉△4九角成▲3六龍△3九馬(3図)
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「▲1五歩に△同歩では以下歩を連打して技がかかるし」の筈だった(笑)のだがこれを全部取り、走った香の空間に△1六角と打ったのが研究手。
 2図で▲1三香成△3四角▲8四飛は△2八歩▲同銀(▲8一飛成△2九歩成は後手よしらしい)△2四飛が飛車の素抜き狙い+銀取りでピッタリ。となると上記の進行はほぼ一本道だが、3図では飛桂と金銀の交換でやや駒得+玉形の違いで後手有利である、らしい(笑)。

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 というか、とりあえずこの王手にどうするかという問題もある(笑)。
 ▲6八玉は△4九馬なんていう手が気持ちよさそうだし、桂香を拾って攻める手もある。
 この後一失あって負けたらしいのだが(をいをい……)、こんな反撃があるとすると1図での▲1五歩という攻めは今後でてこないと思う。スペシャリスト脇の面目躍如の将棋だった。

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