将棋コラム
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端の攻防 |
Date: 2004-03-16 (Tue) |
第1図は白砂の実戦。
先手が居玉のまま▲3八銀から棒銀に出てきたので、三間飛車で迎え撃った。途中、もっと有利にする手順はあったと思うのだが、これで十分だろうと考えて互角の捌き合いへ。第1図は、先手が▲9五歩と待望の端攻めを見せたところ。
ここでどう指すか?
白砂は、△8四香(第2図)と打った。
振り飛車党なら一目の手だろう。よく、「女房を質に入れても打て」なんて言われたりもするが、舟囲いの急所を衝いている。
直接の狙いは△8七香成だが(笑)、△9五同歩▲9三歩△同香▲9四歩△同香▲8六桂といった手を防いでもいる。むしろ防御的に打った香だ。
これに対して、▲6八金寄と守りを固める手は、△9五歩▲9八香打△4七歩(第3図)で手勝ちしそうだ。
居飛車側になにかあれば決まってしまう局面だが、△4八歩成〜△5九と〜△6九とに勝る早い手はないと思う。△6九とが詰めろになるのが大きい。
2段目に飛車を下ろすのが一番早いと思うのだが、▲1二飛△4八歩成▲3四馬△5八銀は後手の方が早い。▲9五香△同香▲9四桂△7一玉▲9二飛△7四歩も、▲9五香△同香▲同香△9三歩も、少しずつ先手が足りない感じだ。
また、▲8八銀のような受けだと、△9五歩▲9八香打に△9六桂(第4図)といった逆襲の筋が生じる。これも後手が少し有利だと思う。
というわけで定番の香打ちで後手有利……かというと実はそうではない。
▲8八香(第5図)という「香には香」の返し技があるのだ。
次に▲8六歩から香を取りに行く反撃手があるのが自慢で、今度は△9五歩に▲9八香打△9六桂とはしない。△9五歩には▲8六歩である。
▲8八香には△9五歩▲8六歩に△同香▲同香△8七銀▲6八玉△7六銀成(第6図)という展開を選択するのが一番いいと思うのだが(△8六同香に▲8七歩は△3七馬▲8六歩△4七歩で後手が勝つと思う)、先手には▲7七銀と▲8八香という二つの手段があり、簡単ではない。
例えば、▲7七銀に△同成銀▲同馬△4六桂▲5九金引△5八銀▲同金左△同桂成▲同玉△4七歩▲4九香△3七馬▲5六銀△3八龍▲6九玉△7七金(第7図)。
取れば△5九馬から詰むのだが、▲4七銀と引かれると先手がよさそうだ。攻め方も受け方もいろいろありそうなところだが、難解としかいいようがない。
なんだか中途半端な話で申し訳ないが、なかなかに端の攻防は難しいということで許していただきたい。
ちなみに、実戦では△8四香に▲8六香としてきたため、△同香▲同歩△8七銀がまともに決まってそのまま終了した(笑)。「香には香」と言っても▲8六香では意味がなかった。
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