■ 清水流右四間飛車2 〜△4四歩または△4六歩の攻略法〜 | Date: 2004-05-28 (Fri) |
前回のコラムで、「第1図では△4四歩や△4六歩が正しい」と書いた。△3七角は誘い手で、この変化は清水流が炸裂する(まぁそれでも本当に形勢がいいかどうかは判らないのだが)。
ところが次の日、enjoyさんから「いずれも▲3一角で互角、かな?」との指摘があった。
そこで、今回はこの辺りの指し手を検証してみたい。
いや、決して「あ、ネタが増えた。ラッキー」とか思ったわけではな……ごめんなさい。便乗します(爆)
△4四歩も△4六歩も、基本的な狙いは変わらない。次に桂馬を取り切ってゆっくり指そう、という考えだ。じっくり指せば、清水流の珍妙な陣形、特に7七に跳ねてしまった桂馬を弱点に攻めが組み立てられる。
そこで、どちらにしても▲3一角と打って暴れればどうか? というのがenjoy説である。
それでは、一つずつ検証していこう。
まずは△4四歩型(第2図)から。
△4一飛と逃げるのは▲2二角成だし、△4五歩などでは▲4二角成△同金▲2二飛くらいで一方的になる。△3二飛の一手だろう。
ここで先手には二つの手がある。
▲5三角成と、▲5三桂成だ。
変化が煩雑になるので、樹形図的に示そう。
○▲5三角成の変化
- △4三銀は▲5五銀で先手指しやすい。以下、
- △3七角は▲4四銀△5三金▲同桂成△4八角成▲同金上△4四銀▲4三成桂△6二飛▲4四成桂。
- △4五歩は▲2六角成。頼みの△3七角が消え、▲4四歩も残る。
- △4五銀は▲4四馬△5六銀▲同歩で、▲4三銀などを見て先手指しやすい。
○▲5三桂成の変化
△3一飛▲5四成桂までは必然。ここで、
- △3五歩は▲4四飛。
- △1一角▲4二銀△4四角▲3一銀不成△7一角▲4四歩は先手指しやすい。
- △1一角▲4二銀△3二飛▲4一銀不成△4二飛(△4四角は上の変化と同様に進み、銀の位置がいい)▲5二銀不成△4四飛▲同成桂△5二金▲3二飛は先手指しやすい。
- △3七角は▲4四飛△1九角成(△1一角はほぼ同じ)▲4二銀△3二飛▲4一銀不成△4二飛▲5二銀成。
- △4四飛▲同成桂△5二金▲2二飛で先手指しやすい。
- △5二同飛▲5三金△同飛(△2二飛は▲4一飛成)▲同成桂△8四香▲7九銀△6四馬▲同飛△同歩▲8八銀で難解。手番の分だけやや後手有利か。
結論から言うと、先手も指せる。
白砂は、▲5三角成△4三銀の時の▲5五銀という手が見えていなかった。また、▲5三桂成の変化も、これはさすがに攻めが細くてダメだろうと思っていたのだが、調べてみると案外難しい。△4八角成▲同金寄、といった形が意外と固いのだ。
次は△4六歩を調べてみる。
やはり▲5三角成と▲5三桂成が有力。今度は意外と変化は少ない。
○▲5三角成の変化
- △4五銀▲5二馬△同飛▲4五銀△3七角▲1八飛△2九角▲3八銀△1八角成▲同香△4七歩成の時、取る駒が難しい。後手が少し指しやすいと思われる。
○▲5三桂成の変化
△3一飛▲5四成桂まではやはり必然。ここで、
- △3五歩は▲4六飛△2八角▲4四飛(▲4五飛は△3三桂▲3五飛△4六馬)△1九角成。
- ▲4二銀△3二飛▲4一銀不成△4二飛▲5二銀不成△4四飛▲同成桂△5二金▲2二飛△6一銀打は、△4四歩型の変化と違い、後手は角を手持ちにしている。次の△8四香も厳しいのでやや後手有利か。
- ▲4三歩△3二飛▲4一銀△2二飛▲5二銀不成△同金▲5三金(▲6五桂は△3三角)△同金▲同成桂△5一香は後手の受け切り。
- △3七角は▲4四歩△1九角成▲4三歩成△5一金引。
- ▲3二銀△同飛▲同と△3七銀▲2二飛△4八銀成▲同金直△2九飛▲4九歩△4七香▲4二と△4八香成▲同金△3三角▲1二飛成△4二金▲2一龍は先手指しやすいか。
- ▲4二銀△同金▲同と△3三飛▲4三と△3七銀▲3三と△4八飛成▲同金寄△5一香▲6三成桂△同銀▲2二飛△7二銀▲2一飛成△5六香▲6二金は先手勝ち。
どうやら▲5三角成は後手指しやすく、▲5三桂成でも△3五歩の変化を選べば後手がややよさそうだ。
とはいえ、これらはさんざん突っつき回してやっとでっち上げた(笑)結論で、一手なにかあれば形勢がひっくり返ってもおかしくない。
単純に、△4四歩または△4六歩で後手よし、とは言えないようだ。
△4六歩で難解ながら後手が指せる、と訂正しておく。
さて。
こうなると清水流右四間飛車の去就が気になる。△4六歩でも難しいとなると、やはり△3七角くらいしか攻めがない。しかしそれは清水流の餌食になる。
とすると、清水流右四間飛車は成立するのか。4三銀型で待機されると攻めにならない
ので、やっぱり無理筋だと思われる(<言っちゃった(笑))。