第25回世界コンピュータ将棋選手権出場記

■はじまりから直前まで プログラムの話

 去年は3勝3敗1分という成績だったが、順位が下のチームに勝っての3勝なので、今年はもう少し上を見た戦いをしたかった。
 というわけで、珍しく(<をい)6月くらいからコツコツと手を入れ始めていた。
 例えばこの辺のバグつぶし。

 実はこの△5二玉は、深く手を読んでのものではなく、序盤の駒組み段階の中住まいの△5二玉である。どうも終盤度の判定がうまく働いていなかったようだ(この原稿を書いているときにログを見返したが、全局おかしい状態だったorz)。

 調べてみると、将棋所から白砂将棋へと情報を受け取る部分で処理が必要だったらしい。直したらちゃんと動くようになった。
 その他、EvaluateTeの高速化を図ったりして、じゃあ次はMoveの高速化にも手を出そうか……としている頃。

 7月頃、だったかな。
 なんか突然、上司に呼ばれた。
「今度、市でスマホのアプリを作ることになったから」
 いや「なったから」じゃなくてさ。

 もちろん白砂がソースを書く、っていうわけじゃなくて、ソフト会社の人とやり取りをする、ということなんだけど、公開は来年の1月の予定だという。
 期間はあと半年しかないし、急遽決まったことなんで予算は補正予算を取らないといけないし(←これは情報部署の人がやってくれた)、単純な入札じゃなくてプロポーザルでってことになったんでその辺のこともやらなきゃいけないし、こちらの部署の部長までの説明はこちらの仕事となるので、そもそもスマホを持っていない人に説明もしないといけないし……と、なにしろ市で初めてのことなんで、ほぼすべてが手探り状態だった。
 業者を決めて要求定義をまとめて、今度はこちら側の業務の内容も精査してとりまとめて……と、なんの仕事してるんだ自分、というようにもなってしまったが、とにもかくにも、1月末、無事にアプリは公開できた。その後もバグ潰しや宣伝活動など、いろいろと仕事が重なり、なんだなんだで気がつけば4月になっていた。なんてこったい……orz。

 まぁ、こういう状況だったので、ほとんど前回からは進歩していません。

 一番大きな修正点は、FutilityCutを導入したこと。
 その他、玉の安全度などの補正、細かいバグ取りなど、少ししかできなかったがある程度はやってはみた。
 また、今年から持ち時間が25分切れ負けから10分切れたら10秒に変わったので、その対応も。

 ちなみに、そんなアプリに関わってしまったからか、今年度も職場異動はなし。替わりに係長と職員の合わせて2人が異動し、バイトが1人いなくなった。
 職員4人、バイト2人の状態から、職員2人が異動してバイトは1名減。そんな状態で、4月23日に、2年に1回しかない「特別職の委嘱式」の準備をしろ、などと言われてしまい、本当に疲れた(その日の夜に行われた呑み会は欠席した)。

 こんな感じで、ほとんど時間も取れないまま、前日を迎えた。
 まぁダメだよねこんな状態じゃあ。

■はじまりから直前まで プログラム以外の話

 今年はもう準備を整えるとかそういう状態ではなかったので、PCは去年のまま。SVS1512AJという機種で、15インチ、Core i7-3632QM(2.20GHz。最大3.20GHz)、メモリ12G。

 宿の方は、すっかり予約を忘れていたので、東京ベイプラザホテルにした。白砂は神奈川県から車なので頑張ればその日のうちに来たり帰れたりするんだけど、例によって前泊後泊することにした。食事についてもWebでいろいろと調査したんだけど、どうもいいお店がない。結局、前泊時はホテルの中華料理屋で済ませ、後泊時は近くのイオンモール内のどこかにでも行こう、と決めた。

 前日は13:30頃に出たのだが、幸い道路は空いていて、去年の反省から海ほたるに寄るのもやめたので、15:00くらいにはホテルの駐車場に車を入れることができた。
 その後少し休んでからノートPCを取り出していろいろいじって、夕飯後も少しいじったが特にすごいことをしているわけではなく(泣)、12時頃にベッドに入った。ただ、どうも寝付けず、結局寝たのは3時前後くらいだろうか。
 それでも、朝は7:20くらいに起きたので、4時間くらいは寝たことになるのか。朝食はバイキング形式だったのでたらふく食べて(笑)、8:40にホテルを出発。会場のかずさアークに向かった。

 毎年のことながら車がほとんどいないので、途中のコンビニで昼食を調達したりしたが9時には到着した。受付を済ませてセッティング。
 まずノートPCを広げて、電源をつないで、次にLANをポートに……

ポート全部ふさがってんじゃん
 実行委員のところへ行って事情を説明すると、申し訳ありません別の場所へお願いします、とお願いされた。ハブが7ポートだったことに気づいていなかったらしい。というわけで、広げた荷物を持って部屋の端っこへ移動し、準備を済ませた。br>  その後、なのはの「こんなもの」を見たり(「周りからのやっちゃえについ…。」ええ白砂ですとも(笑))しているうちに開会時間となった。

 開会式はつつがなく終了。スポンサー様のあいさつがあったりしたからだろうか。これくらい粛々と行われるのがよいと思った。
 アクアラインの渋滞で遅れていた数名もなんとか到着し(これを聞くと前乗りは正しい戦略だと思ってしまう)、1回戦が始まった。

 


初版公開:2015年5月5日
copyright © S.Hakusa