特に矢倉戦などで多いことなのだが、相手の攻め駒を攻めることで局面を打開できることがある。攻め駒を減らすことによって間接的に自玉の脅威を緩和できるし、そもそも攻め駒は受けには適さないので攻められることには弱いという点もある。
第1図は振り飛車対居飛車の戦いだが、お互いに玉頭に喰いついているところである。先手がやや有利といったところだろうが、あんまりゆっくりしていると△3六銀から△2七歩成が来る。▲1三歩はちょっと間に合わない局面だ。
第1図からの指し手
▲5五銀△同歩▲3七桂打△4二金直▲1三歩△同香▲3三銀成△同金▲2五桂(第2図)
桂馬を喰いちぎって▲3七桂が「攻め駒を攻める」手筋。▲5五銀が同時に飛車の横利きを通した手でもあるため、第1図では存在した△3六銀が消え、後手は銀を逃げることができなくなっている。
その後も一発▲1三歩を利かせてから、▲3三銀成~▲2五桂。第1図にあった玉頭の圧力が、第2図ではきれいさっぱりなくなっているのが判るだろうか?
第2図で△2三金は▲2四歩△2二金▲1三桂成△同金▲2五桂が厳しい。あとはいくらでも手が続く格好だ。
こんなにうまくいくことは多くないだろう(笑)。しかし、「攻めて来た駒を取り払う」ということは常に頭の中に入れておいていい発想だと思う。
ちなみに、本局の先手は斎田晴子女流4段。最近は女流も強くなったなぁ……。