前回の続き。
左図の作為手順……というか余詰ばっかりなんで詰め手順と言い直そうか(泣)、は、▲4八銀△同玉▲4三飛△4五桂合▲同飛成△5九玉▲6八銀△同玉▲1三角△5七桂合▲4八飛成△7七玉▲8九桂△8六玉▲7五銀△同玉▲5七角成……の順。
太字の部分、なんで桂合でないといけないのか、というメカニズムについては前回分を読んで欲しい。新しいことを書くと、これは『柿木将棋7』でも素のままでは読めなかった(PCスペックは、CPU P4-1.6G MEM PC2100-1.5G)部分で、結局人間がある程度手順を入力してやらないといけなかった。つまり、桂合のメカニズムそのものは白砂が自力で発見した。裏づけは『柿木将棋7』だったけども。
この時の感動がどれほどのものだったか。
ところが、子細に検討していくと余詰の嵐。形が命の作品なだけに、白砂は泣く泣く諦めてしまった。
ところが先日。
後輩の塚本から、社会人リーグの誘いがあった時のこと。
この図の話になり、「この手順は捨てがたいから、なんとかならないのか?」と言われた。なんとかったってこれはこの図だからこそだから、変更は利かない。それを話したのだが、多少価値は下がっても1、2枚の駒を置くことで完全作になればそれでいいんじゃないか? と主張された。
そう言われてみれば、形として崩れない程度の駒置きであれば、なんとかなるかなぁ……。
思い直して、再びこの図面に向かった。
しかし、なかなかうまく行かない。
どう駒を置いていいのかというのもそうなのだが、▲8九桂△8六玉あたりまで来ると、詰方の勢力が強いので「詰みすぎ」てしまうのだ。
かといって、▲4三飛と▲1三角を打てない配置には駒は置けない。だから例えば△3三桂とか△2四歩とかはダメ。序盤には目立たず、上へ追い上げた中盤すぎになると光ってくる駒配置。そんなうまいことをやらないといけないのだ。
いろいろ試してみたのだが、どうもうまくいかない。
そんなある時。
忘れもしない土曜の朝。というか昼。
少し遅く起きて顔を洗っている時、ふと厭な筋が閃いた。
なんで思いついたのかよく判らないのだが、頭の中で検討すればするほど、その厭な予感がどんどん現実のものになっていく。
洗顔もそこそこに、PCの前へ。
思いついた「厭な手順」を並べていく。
▲4八銀△同玉▲4三飛△4五桂合▲同飛成△5九玉▲6八銀△同玉▲1三角△4六桂合(第2図)
焦点の捨合である。
捨合の理由は図を見れば一目瞭然だ。▲4六同角成△5七桂合(第3図)とすれば、▲4八飛成とできない……。
第3図を『柿木将棋7』にかけてみた。
69分後、無常にも「不詰めです」のダイアログが表示された。