私のパソコン遍歴

〜 白砂、C言語に手を出す 〜

 大学に入ってからなんですが、白砂は「秋葉原通い」という悪い遊びを覚えてしまいました。
 別に作れもしない(爆)のに細っかい部品がいっぱい売ってるところを徘徊したり、ジャンク品に手を出してみたり。不思議とマンガ・同人誌系の店には入らなかったんですが(信じろ。……というか、白砂が大学時代にあんなエロエロの看板なんてあったかなぁ?)、一番ハマったのが「中古ソフト探索」でした。

 X1-turboIIはPC-98シリーズに比べるとソフトの数では見劣りがしました。また、白砂が住んでいた大都会綾瀬市にはパソコンショップがなかったり、もしあったとしても極貧の白砂には買うお金がなかったりと要するに白砂はソフトをほとんど持っていなかったわけです。ゲームのほとんどは近藤くんちでやらせてもらってたし(我ながら寄生虫のようなヤツ……)。
 というわけで、多少懐の暖かくなった白砂は、秋葉原の奥〜の方に行ってはX1のゲームソフトを漁るという日々を続けていました。

 で、大学時代はX1-turboIIしか持っていなかった白砂ですが、この時は脇田からもらった98がありました。98は多少なりともソフトが充実しています。なので、社会人になってから(というかPC-9821FAを譲ってもらってから)の白砂のターゲットはPC-9821FA用のソフトへと移っていきました。
 社会人。
 更に懐が暖かくなっていたので気楽にソフトが買える筈だったんですが、しかし、今思い返すとほとんどソフトは買ってないんですよね〜。
 というのも、社会人になると金がある代わりに時間がなくなっちゃって、パソコンに時間をかけてらんなくなっちゃうんですよね。
 それに、あんまりパソコンそのものに魅力を感じなくなっていた時期でもありました。白砂の職場ではちょうどWindows95が入った頃で、95のお勉強に時間を割いていたということもあります。
 まぁとにかくそういうわけであんまりソフトを買ってなかったんですけど、でも、秋葉原通いは続けてました。重症です(爆)。
 そんな時ふらっと入った「開店ジャンクセール(笑)」が、白砂のパソコンライフを一変させることになりました。

 当時から「C言語」というプログラム言語については音に聞いていました。プログラムの本を読んでても、なんかあるとすぐC言語って言葉が顔を出しますし(一応、昔からの「目指せ将棋プログラム作成」という夢は消えていませんでしたので、いろいろチェックだけは欠かさずしていたんです)。
 しかし、コンパイラは「くそ高い」という話も同時に聞いていたので、こりゃあ無理かなぁ、と。事実、白砂の家の近くをぐるぐる回ってみたんですが、コンパイラは軒並み○万円。懐は多少暖かくなってはいたんですが、それでも成功するかどうか判らないバクチにそこまでつぎ込むのはちょっとなぁ……と躊躇していました。

 が。

 既に場所はどこだか忘れてしまいましたが、その「開店ジャンクセール」で、偶然見つけてしまったんです。

Borland C++ 3.1。

 なんか凄くでっかい箱(パッケージ)でした。
 普通、ソフトの箱ってひらべった〜じゃないですか。WindowsのOSとかでも。
 でも、違ったんです。厚みがあって、どっちが縦でどっちが横だか判んないんです(笑)。
 今でこそMicrosoftOFFICE製品なんかはかなり「分厚い」箱ですけど、当時のソフトですからね。でまた、そんな見たこともないようなパッケージに、カッコいい煽り文句(誤)が書いてあるわけですよこれが。

ボーランドC++3.1
DOS/Windows対応 最強開発システム

ボーランドC++は、超高速最適化コンパイラや豊富な支援ツールを備えた最強の開発システムです。
DOSとWindowsのアプリケーション開発のために必要な機能がこのパッケージに全て含まれています。
やさしい操作性と高度な処理能力がプログラマに余裕の環境を提供します。

■高度な最適化機能搭載
 最新の技術を投入したボーランドのグローバルオプティマイザと、品質の良さでは定評のあるライブラリにより、小さく高速なコードの生成を可能にします。
 386の32ビットレジスタを使用することでコードを短く、スピードを早くすることができる386のコード生成オプションや、C++のthisポインタを用いた新しい最適化の機能、オブジェクトデータ呼び出し規約もサポートしています。
■最高速コンパイルスピード
 貴重な開発のための時間を、コンパイルの待ち時間で無駄にする必要はありません。ただでさえ最高速のコンパイラが、さらにスピードアップしています。
 他社のコンパイラはもう遥か彼方に霞んで見えません。
 ボーランドの第3世代C/C++コンパイラを使用すれば、開発時間を劇的に短縮し生産効率を大幅に向上させることができます。一度コンパイルしたヘッダを再利用し、無駄な時間を省くプリコンパイルヘッダの機能と合わせ、快適な環境を提供します。
……
(以下略。実物を転記しました。ホントにこう書いてあります)

 こんなの見たらわくわくするじゃないですか。グローバルオプティマイザですよ、オブジェクトデータ呼び出し規約ですよ、他社のコンパイラは遥か彼方に霞んで見えないんですよ(爆)。

「でも、高いんじゃないかなぁ……」
 こんなカッコいいコンパイラを見つけただけでも僥倖だったんですが、白砂はまだ慎重でした。いいコンパイラだったら家の近くのパソコンショップにもあった。ここでクソ高いソフトだったらバカを見てしまう……。

¥1,000

うそ!?

 見ましたよ何度も(笑)。それこそあっちこっちひっくり返して。
 元値が数万でしょう。いくら開店だろうとジャンクだろうと、なんぼなんでもそれが1,000円ってこたぁないだろうと。
 しかし、どこを探してもサギ用の値札(笑)は見つかりません。ほんとにホント、正真正銘、1,000円というシールが貼られているだけなんです。
 いやもうビクビクでした〜。
 98用で(当時からもうDOS-Vのソフトが幅を利かせていて、98はあんまりなかった)、しかもカッコいい機能満載で、1,000円。こんなうますぎる話が世の中に転がってるわきゃあないと。

 でも、ホントでした。
 レジに行ったら、1,000円ぽっきりでした。ホントに1,000円で買えたんです。こんなでっかい箱のソフトが(笑)。
 もの凄い嬉しくて、とにかく嬉しくて、ソッコーで帰りの電車に乗りました。
 田園都市線の中で、膝の上に抱えた箱を眺めちゃあにやにやしながら(笑)。


 そんなこんなでBorland C++ 3.1を手に入れたわけなんですが、白砂はC言語のことなんざ何一つ知っちゃいません。その上、C++ときた日にゃあ「なにそれ?」といった感じです。
 なんで、とにかく本を読みました。

 近くにCを知っている人がいればよかったんですけど、友達の少ない白砂にはそんな人はいません(泣)。仕方がないので本を買ってきて独学です。
 ポインタだぁ構造体だぁ名前空間だぁという訳判んない言葉を理解するのにどれだけ時間がかかったことか(号泣)。というか今でもホントに理解してるのかどうか不明ですが、とにかく大変でした。
 一応、BASICと、あと仕事でCOBOLを使っていたので、命令を覚えるのは簡単でした。まぁこの辺はどの言語でもおんなじですし。コンパイルという概念も、BASICからCOBOLの時にさんざん苦労したので理解できました。
 しかし’Hello! World’を打ち出すのがどれほど大変だったか(泣)。きっと白砂はプログラミングのセンスがないんだな。

 購入した書籍も増え、その分だけそこそこの知識がついていきました。実際のところDOSのプログラムを組むような需要がなかったのでプログラミングはしていませんが、例題を解いていくくらいのところまではなんとか進みました。
 そんな時発売された一冊の本が、またまた白砂のパソコンライフを一変させることになりました(←こればっかや)。