伏土竜の麻雀戦術論

入門編その2 点数計算

第2章 早見表

  第1項  早見表

 正式計算法はかなり面倒な計算をしなくてはならず、暗算能力が相当に高くなくては実戦中に素早くできるものではありません。
 はっきり言ってしまいましょう。

正式計算法は(あまり)役に立ちません。

 なぜかと言えば、第四段階と第五段階の計算に手間が掛かりすぎるからです。「この行程を省けないだろうか」という発想が生まれるのは自然の成りゆきでしょう。
 さらにこの発想が「あらかじめメンドクサイ計算を済ませたものを表にしてまとめてしまえば、実戦中に面倒な計算をせずに済む」に変化し、その結果として早見表が生まれました。

親のアガリ点数早見表

 

1翻

2翻

3翻

 4翻

5翻

6翻

8翻

11翻

13翻以上

20符

2000

3900

7700

満貫

跳満

倍満

三倍満

四倍満

30符

1500

2900

5800

満貫

40符

2000

3900

7700

満貫

50符

2400

4800

9600

満貫

60符

2900

5800

満貫

満貫

70符

3400

6800

満貫

満貫

 

子のアガリ点数早見表

 

1翻

2翻

3翻

4翻

5翻

6翻

8翻

11翻

13翻以上

20符

1300

2600

5200

満貫

跳満

倍満

三倍満

四倍満

30符

1000

2000

3900

満貫

40符

1300

2600

5200

満貫

50符

1600

3200

6400

満貫

60符

2000

3900

満貫

満貫

70符

2300

4500

満貫

満貫

 

注意

1.空欄になっている20符1翻でのアガリは、本来なら親1000点子700点なのですが、30符1翻として計算する決まりごとがあります (その理由を詳しく知りたい方は、筆者までご一報ください。ちゃんとした歴史的背景からご説明します。)

2.30符4翻や60符3翻を満貫にせず、親11600点・子7700点にするルールもありますが、現在では満貫にするルールが主流です。

 前章で紹介した「倍々計算の法則」は、早見表を見てもらうと良く解ると思います。
 一部は倍々計算になっていないように見える所もありますが、これは下2桁の繰り上がりをする際にズレが生じるからです。
 例えば親の30符1翻は1500点で親の30符2翻は2900点ですが、下2桁の繰り上がりをする前は1440点と2880点だったのです。
 同様に、2000点が1920点・3900点が3840点、と細かな数を挙げるとさらに良く解っていただけるかと思います。

  第2項  早見表を用いた点数計算法

 基本的な手順は正式計算法と同じです。
 まず、翻数を数えてください。
 その際に5翻や8翻など満貫以上になっているなら、早見表を使わなくてもアガリ点数はすぐに解ります。4飜は微妙なんですが、満貫にならない4飜は平和ツモのみですので区別はつくでしょう。
 そのアガリが満貫以下なら、そこで始めて早見表の出番です。

 正式計算法と同じ手順で、符数を数え下1桁を切り上げてください。
 その符数と、先に求めてあった翻数との表中で合致した所が、アガリ点数です。

  第3項 早見表の暗記について

 前項の説明で、早見表の存在と利用法は判っていただけたと思います。しかし、だからといって、誰かのアガリの度に「30符2翻っていくらだっけ?」などといちいち表を見ていたのでは時間が掛かってしまいます。
 それでは点数計算を素早くできることにはならず、何のための早見表だか解りません。
 早見表は丸暗記する必要があるのです。
「丸暗記」というと決まって「オレ暗記は苦手なんだよな」と拒否反応を起こす人がいますが、実戦中にいちいち正式計算法をする手間を考えたら、早見表を丸暗記する方がよほどラクだと思います。
 小学生のころ算数の基本として(イヤイヤながらも)九九を丸暗記したように、麻雀の基本として先の2表を丸暗記してください。

 数字の暗記に強い方は表をそのまま覚えてください。
 数字の羅列だけでは覚えづらい人は(こちらの方が圧倒的に多いと思います)九九を覚える際に一の段・二の段と段ごとに口ずさみで覚えたように、早見表を符ごとにまとめて口ずさみで覚えるる方法が有力です。

 口ずさみ方は以下の通りです。

「親の30はセンゴ・ニック・ゴッパー。
   40はニセン・ザンク・ナナナナ。
   50はニイヨン・ヨンパー・クンロク。
   70はサンヨン・ロクパー」

「子の30はセン・ニセン・ザンク。
   40はイチサン・ニンロク・ゴンニイ。
   50はイチロク・ザンニ・ロクヨン。
   70はニイサン・ヨンゴー」

 なぜ60だけ抜けているのか疑問に思う人もいるでしょう。
 倍々計算の法則があるので必要ないからです。
 この法則は翻数だけに通用するのではなく、符数にも通用します。同じ翻数なら60符でのアガリは30符でのアガリの倍の点数です。つまり、30符の並びを覚えてしまえば60符も覚えたことになるのです。
 同様に、40符を覚えれば80符を、50符を覚えれば100符を覚えたことになります。

 なお、120符にするにはどうしても三役が必要となり満貫になってしまうので、符計算は110符までしか関係ありません。
 とは言え、実際の麻雀で90符以上のアガリが出現することはほとんどありません。ましてや110符でのアガリなど半荘1万局で1回あるかどうかの少なさです(総半荘数3万を超える筆者でさえ、110符のアガリはいまだかつてマンガの中でしか見たことがありません)。なまじの役満を狙うより、よほど難しいでしょう。
 ですから、90符以上の並びなど覚える必要はないと思います。

 もし80符以上が出現してしまったなら、正式計算法を利用してください。

前のページ 目次 表紙 次のページ