伏土竜の麻雀戦術論

対応編その4 相手のアガリ点数を読む

 前編までは、攻守の判断を自分の手牌に求めた方法を解説しました。

自分のアガりだけを求めることが勝利への道ではなく、時にはオリることも必要だ

 という、麻雀の一大原則を知っていただけたかと思います。
 しかし、残念なことに、この方法は実戦であまり役に立ちません
 なぜあまり役に立たないか。
 その代表2例を。

 もしをポンしている人がいたなら、あなたはどう対応しますか?
 誰だって大三元に振り込みたくはありませんから、役の概念がない超の付く初心者でもない限り、オリに向かうことでしょう。
 では、もしそんな相手がいたとして、あなたの手牌が満貫あったとしたら振り込み覚悟で立ち向かっていきますか?
 対応の基準を自分の手牌にしか求めないならばアガりに向かうことは間違いありませんが、普通は「役満対満貫なんて、そんなの割に合わないよ」と考えることと思います。
 相手の高得点の手牌に対して無茶な突っ張り方をすること。これを無謀といいます

 もう一つの例。
 では、仮に相手が子でをポンしていて、他に点数を高くする要素が一切ない(ドラも持ってなさそうだしホンイツも対々もなさそう)と解ったとしたら、あなたはどう対応しますか?
 自分の手牌がよほど悪くてテンパイまでほど遠く、さらにテンパイしたとしても絶対に高くならない場合とか、たとえ1000点でも振り込みがいやだという守備偏重タイプの人でもない限り、その相手の存在を無視して自分のアガりに向かうことと思います。

 ところで、どうせ振り込んだとして1000点・1300点にしかならない相手に一生懸命振り込まないよう努力しても、それは無意味であり無駄だと覚えてください。
 なぜ無駄と決めつけられるかと言えば、現代の麻雀にはノーテン罰符があるからです。一生懸命オリても、流局してノーテンであれば1000点や1500点、ヘタをすれば3000点もの罰符を払うことになります。どちらにしても失点してしまうくらいなら、その安い手への振り込みを一切気にせずに自分のアガりを目指すべきでしょう。
 相手の低得点の手牌に対し必要以上にオリてしまうこと、これを無駄といいます


 もうお解りかと思いますが、自分の手牌だけを基準にして対応を考えていたのでは、無謀と無駄が多くなってしまいがちなのです。
 よって、実戦ではあまり意味がないと言えます。

 では、無謀と無駄をなくすためにはどうすればよいか?
 自分の手牌だけを基準に対応を考えるから無謀と無駄が多くなるのなら、他の基準を設ければよいのです。
 では、他の基準とは?
 相手の手牌です。
 相手のアガり点数を想定して、それを判断材料の一つにするのです。

「そんな簡単に相手のアガり点数が解れば苦労はしないよ」
 という声が聞こえてきそうですが、実際問題として相手のアガり点数は、全てとは申しませんがかなりの部分想定できます。
 もちろん、ダブリーの手牌のアガり点数なんてのは中を見てみなければわかりません。
 しかし、いつまでも自分の手牌でしか攻守の判断をできないようでは、いつまでたっても無謀と無駄が多すぎる麻雀を打ち続けることになってしまいます。

相手のアガり点数を想定する

 書けば13文字で済んでしまうことですが、簡単に身に付くような知識ではありません。
 しかし、これは対応の応用段階として上達には避けて通れない道です。詳しく解説しますので、是非とも身につけてください。

 ところで、知的スポーツたる麻雀はその知識の大部分を論理性だけで語ることができます。また論理性さえ理解できれば、誰にでも修得可能だと思います。
 しかし、こと捨て牌読みに関しては、頭で考えるだけでなく実地体験が必要です。知識の習得に、机上の理論だけでなく、相手の捨て牌という生きた材料を相手にした実地の体験が、なによりも重要だからです。
 本編では、捨て牌読みの論理的部分は解説します。しかし、実地の部分は語って聞かせるというわけにはいきません。
 読者の方々が、実地で体験してこの知識を実用できるようになってください。


 前置きはこれくらいにして、本編に入ります。

 相手のアガり点数を読むPoint は、

アガり点数を構成する要素である役とドラを、相手がどのように利用しているか。それを相手の捨て牌から読む

 です。

 これを細かく分け、第1章で相手の主体役を読む方法を、第2章で相手の付属役を読む方法を、第3章で相手のドラの使用枚数を読む方法を解説します。

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