それでは、ある役を狙う際にどのような順で捨てる牌を決めるかを、役の系統ごとに見ていきましょう。
特例と偶然役は、省略します。
この系統については先ほどの通りです。
まず不要な色の牌、しかも安全性を考えて真ん中辺りから叩き切ってきます。続いて場に死んだ字牌、生きている字牌、余った染め色の牌、という順の捨て牌になります。
相手がどんな役を狙っているかを読むのに、この系統ほど簡単なものはありません。
この系統に必要となる牌は、123789の数牌と字牌です。
となると当然、不要な456が最初の方で捨てられることになります。
一色手でも同じように中張牌から捨てられますが、チャンタの場合には3色まんべんなく捨てられるのが特徴です。
次いで、死んだ字牌が捨てられます。
最後に、チャンタで使える牌のうち不要になった牌が捨てられます。
捨て牌の後の方で生きている字牌の対子を捨ててくる(これを「対子落とし」と言います)ようなら、ジュンチャンにまで発展したなと読めます。もし相手がチャンタで充分と思っているならば字牌の対子は使えるので捨てないはずです。
13や23の塔子を捨ててきたなら、ホンローになっているかもしれませんし、下手をすると国士無双にまでなっているかもしれません。
この系統に必要な牌は、対子以上として使える牌です。
また、効率編で紹介した「この系統には使用効率の高い中張牌が嫌われやすい」もポイントになります。
そこで、中張牌や序盤から2枚以上捨てられた牌が早めに捨てられることになります。
これも効率編で紹介しましたが、この系統には翻牌との複合がとても有効です。
ですから、対子系を狙った(と思われる)相手が生きている翻牌を捨ててくるようなら、テンパイないしは1シャンテンと疑って掛かるべきでしょう。
この系統に必要な牌は、とにもかくにも字牌です。
三元役なら3面子が、四喜和なら4面子が、字一色なら14枚の字牌が必要なのですからこれは当然のことです。
ところがどんなに欲しくても、字牌の数は全部で28枚しかありません。
ですから多くの場合、字牌系の役は上記三系統を狙った際に、たまたま字牌が多くなってから改めて意識するようになります。
ホンイツを狙っているはずなのにやけにその色を捨てる。
翻牌をポンしてトイトイを狙っていると思っていたらやけに初牌(ション牌と読み、場に1枚も出ていない牌のことです)の対子を捨てる。
このような普通の進行ではちょっと考えられないような進行を相手がしたなら、この系統を疑うべきでしょう。
〜 伏土竜のちょっとコラム 〜 ところで、字牌系の手役で実戦に一番多く現れるのはおそらく小三元でしょう。 |
上記の4系統は、本来使用効率の高くなかなか捨てられないはずの中張牌を序盤から捨ててきます。牌の使用効率から見れば明らかに変則的なわけです。そのため、それらの手役を総称して「変則手」と呼びます。
変則手は使用できる牌に制限があるので、どうしても捨て牌が偏りがちです。よって、相手の捨て牌を注意して見られるようになれば、相手が変則手を狙っているということはすぐに解るようになります。
また、変則手には、複合する役が少ないためアガリ点数を読みやすい、という特徴があります。
仮に、ドラ色のホンイツを狙っている人がをポンしたとします。
するとその人のアガリ点数は、ホンイツ発の3翻が確実で、おそらくドラも1枚使っているでしょうから満貫だろう、と容易に想像つくのです。
変則手とは異なり、門前系は使用できる牌に制限がありません。
ですから、単純に使用効率の低い牌から順に捨てられることになります。
この順で捨てていくと手牌には中張牌が集まり、自然とリーチやタンヤオに向かっていきます。自然に普通に進行していく手なので、変則手に対して普通手と呼ぶこともあります。
門前系の主体役を読むこと自体はさほど難しくないのですが、門前系は複合できる付属役があまりにも多いため、主体役になにが複合しているかをすべて読むことはほとんど不可能です。
つまり、相手のアガリ点数を具体的に細かく読むことができないのです。
門前系を狙った相手のアガリ点数を具体的に細かく読むには、もっと深い知識が必要になります。
これは次章以後で詳しく解説します。