振り飛車・対振り飛車 − 三間飛車


 伝説シリーズ5 真・石田伝説
著者名週刊将棋/編

級位者☆☆☆☆
出版社名毎日コミュニケーションズ 初段〜3段☆☆☆☆☆
価格1000円 4段以上☆☆☆☆
感想

 アマチュアの花形戦法と言えば棒銀・中飛車・石田流だが、時の名人挑戦者升田幸三実力制第4代名人は独自の改良を加え、なんと石田流を名人戦で指した。大山−升田時代のことなど知る筈のない私は当時の熱狂ぶりをじかに感じているわけではないが、それでもその熱気だけは想像できる。
 現在でも愛好家の多い升田式石田流だが、しかしその定跡書となると数えるほどしかなかった。だからこそ愛好家達が跳梁跋扈(<妖怪かい)することにもなったわけなのだが(笑)、その石田流に焦点を当てたのが本書である。

 本書はこの他にも、立石流や楠本流(対居飛車穴熊石田流)の解説もしてある。いずれも戦法の基本コンセプトにかなりの紙数を費やすなど工夫の跡が見えるが、石田流や立石流を指す人間から言わせてもらうと少し変化の底が浅い気がした。
 1つの戦法について解説した1〜4章よりも、いろいろな石田流の「形」を解説した5章の方が読んでいてためになったのもそのせいかもしれない。
 取っ掛かりとしてはいい本だと思うが、自分で磨きをかけないと指しこなすのは大変だと思う。もっとも、どの戦形でもそれは言えることなのだが(笑)。



 升田式石田流
著者名升田幸三/著

級位者☆☆☆
出版社名日本将棋連盟 初段〜3段☆☆☆☆
価格\650 4段以上☆☆
感想

 言わずとしれた奇襲の王様「升田式石田流」を、本人が解説した(本当は違うのだろうが)のが本書である。
 大体こういう「高段者が解説した本」というのにはロクなのがないのだが、この本はなかなかきちんと書いてある。変化も丁寧だし、実戦に生じそうな場面を多く用いている。
 私が升田式を使っていたということもあるが、経験から言っても良書である。高段者は既に常識のジャンルだろうから改めて読む必要はないだろうが、初段くらいまでの人は是非読んでほしい。

 こんなに薦めておいて☆3つはちょっと点が辛いが、何しろ昭和48年の本である。要は「古い」のだ(1994年に復刻されている。そちらは\1,000)。
 現在では升田式の対策も進んでいるし、升田式も進化している。それらの進化については別の本を参照してもらうとして、おおもとの下敷きとして本書を読んでもらえればいいと思う。



 振り飛車党宣言! 2.三間飛車
著者名石川 陽生、中田 功、安西 勝一/著 週刊将棋/編

級位者☆☆☆
出版社名毎日コミュニケーションズ 初段〜3段☆☆☆☆
価格1200円 4段以上☆☆
感想

 シリーズ第2弾。今度は三間飛車である。
 考えてみると、三間飛車の本というのは少ないのかもしれない。石田流はそこそこあるのだが(笑)、純粋三間飛車となると、居飛車側から見た▲4五歩急戦とか、その程度しかないと思う。
 本書のまえがきには「プロ間では先手なら三間飛車、後手なら四間飛車を指すという人がいる」とある。ということは、もっと三間飛車に注目してもよさそうなものなのだが……。

 内容としてはやはり変化の底が浅い。これはもうシリーズの特徴と言えるので仕方がないだろう。

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 三間飛車
著者名石田 和雄/著

級位者
出版社名木本書店 初段〜3段
発行年月/価格2002.2/2,800円 4段以上
感想

 

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 コーヤン流三間飛車の極意 急戦編
著者名中田 功/著

級位者☆☆☆
出版社名毎日コミュニケーションズ 初段〜3段☆☆☆☆☆
発行年月/価格2003.3/1,300円 4段以上☆☆☆☆☆
感想

『島ノート』ですっかり名を上げた感のある中田の、最新の三間飛車定跡書。四間飛車とゴキゲン中飛車の本はあまたあれど、三間飛車の解説本なんてのはなかなかない。ましてや正統派の三間飛車となると、最後に出版されたのはいつだろうか? というわけで、三間飛車党待望の本。

 今回は急戦編ということで、主に早仕掛けの変化について書いてある。その他の急戦についても一応触れられているが、本書の解説にもある通り、元々三間飛車は3筋に飛車を振っているので、四間飛車の変化に比べて一手得している(振り飛車では、角頭を攻められた時、△3二飛と受けることがありますよね。三間飛車は初めから3筋にいるので、その手を省ける=一手得、という意味です)。そのため、それらの変化についてはさらっとしか書かれていない。まぁ、知りたければ先手四間飛車vs急戦の本を見ればいいわけで、それについては上記の通りあまたの本が出ているから本書で触れる必要もないのだろう。
 早仕掛けというのは、▲4五歩から仕掛けて、銀を上がって交換して▲3二銀から▲2一銀成、▲1五桂……という例の形で、これについてはかなり突っ込んで書いてある。『定跡外伝2』にない変化もあるので、まさに三間飛車党にとっては待望の書といえる。
 図面も多く解説も判りやすいので、中級者から有段者まで幅広くカバーできると思う。初級者から中級者入口の人は、『ホントに勝てる振り飛車』を読んでから本書を読むとなおいいだろう。

 こうなると期待してしまうのは「中田功XP」で、早いトコ対持久戦を出版して欲しいところだ。
 ……てぇか、持久戦全盛の時代に、なんて判を押したように急戦が先で持久戦が後なのだろうか? 出し惜しみして売上が伸びるわけでもなし、さっさと期待されているものから出した方が得策だと思うのだが。

(2003.3.23 記)

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 コーヤン流三間飛車の極意 持久戦編
著者名中田 功/著

級位者☆☆☆☆
出版社名毎日コミュニケーションズ 初段〜3段☆☆☆☆☆
発行年月/価格2003.4/1,300円 4段以上☆☆☆☆☆
感想

 前回、急戦編で三間飛車党の心をぐっと掴んだ(<そぉかぁ?)コーヤンの持久戦バージョン。元々、『島ノート』に書かれていた「中田功XP」は対居飛車穴熊だった。今回、そのXPの詳細な解説がついに読める! そう思った読者も多いはずだ。白砂もそうだった。

ふざけんな! 騙しやがったな!

 これじゃただの真部流ぢゃねーかよぉっ!!
 いやマジで。
 期待はずれ。

 少し真面目に解説すると、対左美濃と対居飛車穴熊が載っている。穴熊は3枚穴熊と4枚穴熊とに分けて解説しているが、とにかく全ての考え方は「▲4五歩から▲4六銀」というもの。これ、真部流だよねぇ……。
 内容について言えば、▲4六銀型に左美濃に組むというのはそれだけで相当に味が悪い(▲4六銀と△2三玉の近さを考えてみれば判る)ので、三間飛車が有利になりやすいというのは判る。かなり作った手順もないではないが、▲3五銀や▲2三角といった捨て駒は作ってるっぽいけど既に手筋になりつつあるので、初段前後の人には参考になると思う。
 穴熊の方は、もう少し詳しく解説して欲しかった。3枚穴熊と4枚穴熊とに分けて解説するという発想は評価できるが、それにしても解説が薄い。突っ込んだ解説を本書に求めている人は多いはずだ。
 また、後ろの方に、穴熊の攻略方法について解説しているページがある。
 囲いの崩し方、みたいな本を見ればだいたい書いてあることではあるが、定跡解説とプラスされているのでお得感はある。級位者は参考になるのではないだろうか。

 三間飛車の解説書は少ない。それゆえに、ディープな解説を求めている人は多いと思う。もう少し、それらの声に答えて欲しかったと思う。

『コーヤン流三間飛車の極意 XP編』を出してくれたら、上の批判は即刻撤回するけど(笑)

(2003.5.21 記)

■追記

 2ch棋書スレの方で、この部分に関しての指摘がありました。曰く、
「本書ではXPをきちんと解説している」
 ええっ!? てなもんです。
 ところが、いろいろやり取りしているうちに判ったことなんですが、どうも、白砂の考えるXPの定義そのものがおかしかったようです。そのため、本書がXPを解説していたということが白砂には判らなかった(泣)。

 というわけで、結論から言いますと、本書はXPをきちんと解説しています
 上記レビューは間違いであると訂正するとともに、コーヤンと毎コミさん、読者各位にお詫びいたします。

 こちらのページに詳しい顛末を書きましたので、参考にしていただければと思います。

(2004.10.6 記)

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