伏土竜の麻雀戦術論

効率編その2 形の効率

第2章 イーシャンテンでの効率

 待ちの形の知識は、本講座で解説するより前にある程度あったことと思います。
 けれどもイーシャンテンでの効率については、多くの方がこれまであまり意識してこなかったのではないでしょうか。

 カンチャン2つのイーシャンテン

 と、
 リャンメン2つのイーシャンテン

 を例に取ります。
 受け入れは片や2種8枚で片や4種16枚です。単純計算でも後者の方が2倍も有利です。
 イーシャンテンの形も待ちの形同様、形によって受け入れ枚数が大きく異なります
 好形と愚形の判断基準は、テンパイの時と同じで受け入れ枚数の多いか少ないかです。受け入れ枚数が多ければ多いほどテンパイしやすいのですから、当然でしょう。

 さて、問題は「どのようにしたら受け入れ枚数の多いイーシャンテンにできるか」です。 そのために覚えていただきたい知識が3つあります。

遊び牌を変化牌を入れ替える

面子に自在性を持たせる

目先のシャンテン数にとらわれない

 です。
 それぞれに項を立て、順に解説します。

第1項 遊び牌を変化牌と入れ替える

 ところで、先の例にはそれぞれ1枚の遊び牌があります。
 です。
 このが他の変化牌だったら、受け入れはそれぞれどの位変わるでしょうか?

 順に調べてみましょう。


 まずはから。
 変化牌は5種あります。

 とを入れ替えた場合、手牌は

 となります。
 受け入れはが増えて計4種14枚になります。の場合も、とのシャンポンになりますから結果は同じですね。

 では、を入れ替えた

 だとどうなるでしょうか?

 受け入れはとなり、計6種20枚にもなります。


 続いてです。
 変化牌は5種。これはもうお解りですね。

 このうち、については先ののケースと同じですから省略します。
 問題はやはりを入れ替えた場合です。

 の形ですね。
 この場合、受け入れはとなり、計8種28枚にもなります。


 このように、遊び牌を変化牌と入れ替えるだけで、受け入れ枚数は大幅に増えます。
 安全牌として遊び牌を手中に残す人をよく見かけますが、遊び牌を残すことは手牌の受け入れを狭くしていることにしかなりません。『遊び牌を捨てて変化牌を残す』と覚えてください。

「しかし……」
 と思われた方はいないでしょうか?

手牌をめいっぱい広げるよりも、安全牌を1枚手中に残して手牌を進行させた方がよいのでは? その方が、相手から攻撃を受けた際にその牌を捨てることで1巡の安全が確保できるのだから

 という考えからでしょう。
 確かにそういう考え方もあるでしょうし、間違っていると言うつもりもありません。

 しかし、現代の麻雀では、「攻撃をするなら攻撃・守備をするなら守備」というような攻守の明確化が一番大事なこととされています。
 そのような姿勢から、現代では「安全牌を残して多少の安全を確保するよりも、その安全牌を他の変化牌と入れ替えて受け入れを増やした方が有利」とする新しいセオリーが作られ、主流になっています。「多少の安全を確保するために受け入れを減らす」という考え方は現代では中途半端だと考えられているわけです。

 そして更に、上記のセオリーは「手牌に不要な牌を安全牌としてわざわざ残すのではなく、手牌の中にある必要牌ないしは変化牌から安全牌を探す」という考え方に発展しています。

 もちろん、現代のセオリーは絶対ではないでしょう。
 けれども、昔のセオリーもまた絶対ではないのです。
 要は、さまざまなセオリーを覚え、その中から局面に応じてより正しいと思うものを選択できるようになるかならないかです。そのためにも、知識を増やし選択の幅を広げなくてはなりません。
 一つの知識にとらわれすぎず、常に柔軟な対応を心掛けてください。

前のページ 目次 表紙 次のページ