3二金戦法研究
2003.4.22
最後に▲7七桂に△7六金だが、これもやはり▲9七角(第7図)が急所となる。後手玉が居玉であること、先手の飛車が5六にいることなど好条件が多いので、5三を睨むこの角は急所になるのだろう。
これに対し、単純に△7七金と取るような手では▲8六飛(変化27図)で簡単に先手がよくなる。
△7八金▲8一飛成△7一金と頑張っても、▲7二龍△同金▲7八銀となれば、先手は駒の損得なく飛金桂を手に持ったことになる。彼我の陣形を考えればどちらが優勢かは言うまでもないだろう。
△7五歩と落ち着く手は考えられるが、これには▲6五桂と跳ねるのがうまい手で、△同歩に▲7七歩(変化28図)とすれば金が死んでいる。後手は△8五桂と打つくらいしかないが、構わず▲7六歩△9七桂成(△7六同歩は▲5三角成)▲7五歩とする。
次に▲8六飛があるので後手は△8二飛とするよりないが、▲9七香と桂馬を取り返し、△8九飛成に▲8八金打△9九龍▲8六飛(変化29図)で先手優勢である。
▲8八金打はもったいないようだが、ゆっくり攻めればいいのでここは厚く打つべきである。例えば▲8八歩とケチったりすると、△8五歩(変化30図)とされて意外と紛れる。変化29図と変化30図を比べてみれば、▲8八金打の投資にも納得がいくと思う。
もっとも、これは講義用の手順というもので、実際には△8九飛成ではなく△8六歩とした方が粘りがある。
ただ、これでも▲7四桂△同銀▲同歩△8七歩成▲7三歩成△同桂▲7四歩△7八と▲7三歩成△8九飛成▲6三と(変化31図)くらいで先手の手勝ちだろう。
以上で△4四歩と角交換を避ける変化を終わる。結論としては、▲8五歩△同金▲7七桂に金がどこに逃げても先手有利、である。