50,000Hit記念 白砂青松と読者の4番勝負っ!
■ 第3番 2
次の一手は▲5七銀(第3図)。
いかにも軽い手で、白砂好みです。升田式は常に▲8六歩からの攻めを狙ってはいるのですが、▲8六歩△7七角成▲同銀△8六歩▲同銀、なんていう筋をまともに実現させるのは結構大変だと思うんです。
それよりも、本譜に見られるように中央で戦いを起こした方が、特に△6四歩とした手をムダにできそうに思います。
ところが、この手は定跡にはないんですね。どうやら。
激指3も東大6も柿木7も、この局面では▲6六歩という手しか入っていませんでした。
しかし、▲6六歩ってのはどうなんでしょうねぇ。なんかもったいない気がするんですが。
ちなみに、ピュアの柿木将棋では、△6二銀に対する▲8六歩は悪手となっています。以下△同歩▲同角△8五歩▲6八角△3四歩以下後手有利、というものです。大丈夫か柿木将棋。
一方、激指と東大将棋にはちゃんと▲8六歩定跡が入っています。いますが、どうも定跡ファイルをみるとその手は指さないようです。しかも、▲8六歩△同歩▲同角△8五歩▲7七角△6四歩▲4八玉△4二玉▲6六角に、△3四歩▲2二角成△同銀▲8四歩△7四角▲6六角△3二玉……という展開の定跡しかありません。
その是非はさておくとして、どうなんだろうこの定跡ファイルは……。
うさぴょんの育ての親「さすがに定跡を外れましたね(^^;。△5三銀」
ということで、ここからは定跡を外れた力の勝負。しかし、▲4六銀として既に白砂の方が指しやすいように見えるのは振り飛車党の偏見ですかね(笑)。
次は▲5五歩△同歩▲5八飛とか、軽く軽く捌こう、という狙いですね。6四歩のおかげでコビンを責められる心配がない(角のナナメのラインがない)ので、気楽なもんです。ヨコからの攻めなら全然怖くありませんから。
これに対して△4四銀なら、黙って▲5八飛(変化2図)と圧力をかけても角の働きの差で有利になると思いますし、過激に▲8六歩△同歩▲同飛△同飛▲同角△8七飛▲8二飛(変化3図)と攻勢をかけても十分だと思います。△8七飛ではまだしも△8二飛でしょうが、▲8七歩と受けておいて不満はありません。
というわけでうさぴょんは角交換から△6二金(第4図)。
この△6二金はいかにもコンピュータらしい手です。
△5二金だとのちのち▲7一角が決め手になりそうです。かといって△7二金だと中央が薄い。詳しい読みの内容は判らないのでなんとも言えませんが、おそらくそう考えての着手だと思われます。
しかし、人間だったら指しませんよね△6二金は。
もう銀を渡せませんから。
しかも、メチャメチャ銀交換になりそうな気配なのに(笑)。
謎の中学生「僕だったら銀は6三で、金固定の予定でした」
そもそもこんな声もあるくらいです。
これはあくまでも想像なんですが、コンピュータ将棋ではよく「盤面の重み」みたいなパラメータを用います。非常に単純に行ってしまうと、端っこよりも中央が価値が高いとか、互いの玉に近い方が重みがある、とかいうパラメータです。
このパラメータのことだけを考えて「駒の形」を考慮に入れないと、今回のうさぴょんのような指し手を選択してしまうと思われます。人間であれば、△6四歩と突いてしまったことだし、ここは△6三銀△7三桂と構えるか、と考えます。それがよくある「形」ですから。けれど、コンピュータは「中央がより重要。玉に近い方がより重要」と考えて△5三銀と指します。△6二金も同様です。
今回の場合、その影響が非常に不自然に見えます。ただ、中央に、玉の傍にと考えていった方がいいケースも少なくありません。どちらを取るかは、開発者にとって頭の痛いところなんでしょうね。
どうでもいい話ですが、もしも白砂が将棋ソフトを作るのであれば、多少勝率が落ちたとしても多分形のよさを取ります。
その方が指し手が人間臭くなるような気がするんですよね。なんとなくのイメージなんですけど。
さて、第4図。
人間様ならここは一目でしょう(笑)。
予定通り、激しく行きます。