50,000Hit記念 白砂青松と読者の4番勝負っ!
■ 第3番 3
白砂は▲5五歩△同歩▲5八飛(第5図)と攻めました。
善悪は横に置いといても、非常に気持ちのいい手順です。これでなんぼでも捌けますね。
例えば、△8六歩なら▲5五飛△4四銀▲8五飛△同飛▲同桂△8九飛▲5八金左(変化4図)。△4四銀なら▲5五銀△同銀▲同飛△2二角▲6六角(変化5図)。どの変化も、△6二金の形が響いてます。
うさぴょんはこれらの変化を読み切ってか、それとも単純に桂頭を弱点と見たか△7五歩。こちらは気持ちよく▲5五飛とし、△7六歩に▲5四歩(第6図)と一発利かしを入れます。
単純に▲8五飛だと、△8四歩▲7五飛△7三金とされた時にはっきりしないなぁ……と思ったんです。▲7六飛で悪くないとは思いますが、△8八角とかありますから。
と、ここでうさぴょんにアクシデント。また熱暴走です。
残念ながら長考モードはここまでで、ここからは1手40秒ほどで着手します。かなり読みが浅くなるので、強さはガクンと下がってしまいます。
そのうさぴょん、▲5四歩に△4四銀と逃げ、▲8五飛に△8四歩▲7五飛△7七歩成(第7図)で駒得で優勢、と読んでいるようです。
人間だったら、3級くらいの人でもここからの数手は読めます。
そう。
▲7一角△7二飛▲同飛成△同金▲4四角成△同歩▲5三歩成(第8図)まで、です。
第7図では、まず飛車と金の悪形に目が行きます。次に、自玉の固さを考えます。6九金がいるので、△8九飛も▲7九歩で鉄壁。かといって4六銀がいるので上からの攻めもありません。
となれば、第8図までの攻めはすぐ読めます。
しかし、うさぴょんには読めないんですね。
うさぴょんは将棋倶楽部24でR1700。24のRだけで言えば白砂とさして変わらない棋力ですし(白砂は現在1850あたり)、だいたい初段くらいの実力があるということになります。
しかし、うさぴょんには読めないんです。
実は、これはうさぴょんに限ったことではありません。コンピュータ将棋特有の弱点と言えるでしょう。
その証拠、というわけではありませんが、市販の最強ソフトでさえ同じミス(?)を犯します。この将棋を激指3の検討モードで検討してみたところ、▲5三歩成の局面で△2二玉を選択し、それで少し後手有利(-246)と出ます。
そのあと、▲4三と△6七と▲6一飛△5一飛▲同飛成△同金▲5三飛△4一金▲5二銀△6二金(変化6図)▲4一銀成△5三金▲3一成銀△4三金▲3二金△1三玉▲2一成銀(変化7図)と、ここまで進んでやっと先手勝ち(▲2二銀△2四玉▲3六桂△2五玉▲2六歩△同玉▲2七銀△2五玉▲1七桂までの詰めろ)と出ます。
こういう、ダンゴでゆっくり攻める、でも人間側の玉は固くてもっとゆっくりした攻めしかできず、スピード負けする、という展開にコンピュータは非常に弱いです。
うさぴょんは第8図で△6五角(第9図)と受けました。
八方にらみのいい角です。
ただ、線駒で受けなければいけないようだと、だいたい将棋は苦しいんですよね(笑)。
ここからは地味〜な展開になります。「大きく捌いて細かくつなぐ」という穴熊感覚の攻めですね。