50,000Hit記念 白砂青松と読者の4番勝負っ!
■ 第4番 3
第9図を一目見て、みなさんならどんな手を指すでしょうか?
普通は△3八歩成(変化7図)ですよね。▲2二飛成は△3二飛が逆先ですし、とすると▲5七銀くらいでしょうが、タダでと金ができるのは大きいです。
ところが。
白砂は▲3八角(第10図)と角を打ちました。
なぜか? 理由はこれです。
白砂「△3八角。喰いつきゃ勝ちだからなぁ」
たっくん「あれっ? 2手飛んでません?」
enjoy「このまますすめるなら5九玉かなぁ?? でもほんと飛んでますね」
白砂「ごめーん。直した」
白砂「うーん、△3八角では△3八歩成だったな。局面を勘違いしてた(笑)」
そうなんです。
このゴタゴタで、実はこの時、白砂は「飛車が2八のまま」だと思って読みを展開していたんです。
優勢だったから致命傷にはなりませんでしたが、形勢が接近していたら危なかったところです。
全くアホなんだから……(泣)。
第10図からは▲2二飛成△3二飛▲2一龍△4六歩▲同歩△5六角成▲3四歩(第11図)と進展。
タダで龍を作らせ、今度は▲3四歩の心配をしなければならなくなりました。
実を言うと▲2一龍が白砂の盲点だった手で、▲1一龍だとばかり思ってました。▲1一龍なら、△2九角成でも△4六歩▲同歩△5六角成でも先手が十分でしょう。3二の飛車に当たりを掛け続けるのがいい手でした。
△5六角成で3四の地点を補強したものの、それでも▲3四歩が急所です。
△同銀はもちろん▲同金△同馬▲3二龍。さてどうするか……?
白砂の指し手は△3八歩成。
▲3三歩成なら△4八ととして、これで▲3二とのヒマがありません。△4七馬▲7九玉△5八と(変化8図)で寄りですので。よって△4八とには▲6八金でしょうが、△5九銀▲7九銀△4六馬(変化9図)で、これも攻めが続きそうです。どちらにしても、6九玉が痛い形ですね。
そこで本譜は▲5九銀と辛抱しましたが、△4五桂から馬を切って△3四飛(第12図)と飛び出たのが痛快な捌き。ド駒損ながら玉形が大差なので後手がやれそうです。やっぱりどこまで行っても玉の薄さがついて回ってます。
第12図では、本譜の▲3五歩の他に▲7九玉や▲1一角成といった手もありました。
▲7九玉には△4九と▲6八銀△3九飛成(変化10図)とします。
変化10図で▲1一角成と逃げ道を開ける手には△4八と▲5九歩△同と▲7七銀左△6九と▲8八玉△6八と▲同銀△6九銀(変化11図)くらいで攻め切れそうです。▲1一角成で▲2八角と攻め合う手は、△5九と▲同銀△2九龍▲7三角成△同桂▲2九龍に△4七角(変化12図)が詰めろ龍取りになるので後手が勝ちです。
一方、第12図で▲1一角成とする手には△4九と▲6八銀△3八飛成▲7九金△4八と▲7八玉にいったん△5四銀(変化13図)とするのがいい手で、これも後手が勝ちだと思います。いったん受けておくのがいい手で、あとは△5八とからゆっくり攻めていけばいいわけです。
そこで本譜の▲3五歩。
△5四飛(△同飛は▲7四桂)に▲5五桂(第13図)が攻防の一手で、なかなか崩れません。
後手陣が固いといっても、△4三桂成をダイレクトに許すとさすがにまずそうです。
白砂は△4九と▲6八銀△4八ととして間接的に▲4三桂成を防ぎました。
enjoy「▲2五角(第14図)。一か八か」
先手は攻防の角で妖しく迫ってきます。この迫力に白砂が間違えてしまいました。
第14図では△3二銀(変化14図)と引く手がありました。
▲同龍は△2四飛▲5二角成△2九飛成(変化15図)で後手勝ち。▲5二角成で▲2六銀などとしても△2五飛▲同銀△5八角で詰みです。かといって▲3二同龍で▲6一龍とするようでは手負けは明らかです。
明快な勝ちこそ逃しましたが、△4七歩もなかなかの手だと思います。
しかし、ここからの先手の粘りが白砂の読みにはありませんでした。